第11話:基礎を抱く

薪ストーブに廃材を焼べて、3日から2012年の仕事は始まりました。

玄関を入って突き当たりには、1坪の物置が建物から突き出す形であり、
こちらが常盤坂の家のちょうど南角にあたります。
南東側には4mの高さの擁壁があり、その上には2階建ての家がある為、
1階には日が当たりません。そこで今回のリノベーションでは、なんとか
1階にも太陽の光を取り入れる為、南角の物置1坪と、その手前の1坪を
取り壊し減築することで、南に凹みの空間を作り光を取り込む計画。

▲突き当たりに見えるのが物置。その手前はトイレだった部分。

外は一面の雪、もうすぐ大寒を迎えるこの時期に壊す勇気はなく、
まずは、屋根と壁がある状態のままできる事を進めます。
この物置を壊すと、坪庭と繋がりこちらは薪置場になる予定。
物置の中の地面も高く、こちらの土も坪庭と同じく3〜40cm
掘り出さなければならない。

▲物置の真ん中辺りに、また手作り自然浸透枡。

掘っては出てくる石を選別しながら、坪庭の石庭の続きを作る。
小さな石の上に大きな石を載せ、ごろごろと荒い感じの石庭に。

▲右の黄色い断熱材が入っている所まで解体する。

左手前の柱のラインに新たに基礎を作り、そこから奥が外になる。
コンクリートの基礎を打つ下になる部分には、囲炉裏の下にあった
土間を解体したコンクリートを30cm以上敷き詰め再利用する。

▲新たに基礎になる部分は、深く掘り下げる。

それが終わると、続いて山側(南西)の基礎の解体へ進みます。
上の写真で言う右側に見える基礎が、その山側の基礎であり、
他の基礎よりも15cm程度高くなっていた。しかし、それでも
山側の地面の方が高く、上からの雨水の影響などで、こちら側の
土台はほとんどが土に還るほど腐食していた。

▲土台はポロポロの酷い状態。しかし良い意味で木は土に還る。

こちらの基礎を現状より更に15cm高くするのだが、当時の
鉄筋も入っていない基礎に載せても耐震補強にはならないので、
現状15cm幅の基礎を半分に剥り、古い基礎と一体になるよう
新しい基礎を抱かせるように作る。

▲当時でも土台を留めるアンカーボルトはあったようだ。

基礎の表面は、新たなコンクリートが食い付くように目荒らしする。

▲4間分の基礎を剥つると、手はプルプル。

新たな基礎には鉄筋が入るのだが、現状の基礎に鉄筋を差して固定し、
鉄筋に結んでやることで、一体になって地震などに耐えるようになる。
今回はコストを押さえる為、その差し筋までは自分で加工し設置する。
そして、杉本洋鍛冶工房さんのご好意により、鉄筋を用意してもらい、
工房をお借りし、鉄筋を短く切断させてもらう。

▲新年早々4日に伺ったが、鉄人はバリバリ制作を行なっていた。
▲鉄には慣れていないので、大きな刃で恐る恐る作業。

切った鉄筋を持って帰り、次は大工さんから借りたバーベンダー
という機械を使って差し筋を曲げたり加工していく。

▲まずは練習。下の大きな丸が溝にそって動き曲げていく。

そして、冬休みの甥っ子、竜ちゃんが薪を切りにお手伝いに。

▲初めてノコギリで木を切るというのには驚いた。。。

つづく。