このところ続いた土いじりも一段落したので、少し木に触れる事に。
![DSC06577](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06577-360x270.jpg)
写真に見えるこちらの板壁は大和張りと言う張り方で、他の板壁より
特別に幅が広く表情の良い、杉の木の板目を使っている。
![DSC06578](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06578-360x270.jpg)
他の板壁は鉄釘なのに対し、こちらは全て真鍮釘で打たれており、
常盤坂の家の中でも最も格が高い壁になっているのが分かる。
ここは特別慎重に板を剥がしてゆく。真鍮釘も大事に保管して
また、新たに再編集するように活用する。
![DSC06588](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06588-360x270.jpg)
そして、この板を留めている横に走る木は、横貫と言う部材で、
常盤坂の家では、この横貫が柱を貫通し、柱と柱を繋いでいく
「通し貫 工法」という伝統工法で壁が組まれている。
![DSC06592](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06592-360x270.jpg)
通し貫は、柱と貫の貫通部が潰れることで、地震による揺れを
吸収する柔構造で、逆に筋交いは揺れに対して踏ん張る剛構造で、
ここでは、どちらも併用している。 当時の匠のこだわりが分かる。
![DSC06649](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06649-360x270.jpg)
続いて、中の間にある構造上、効いていない柱を抜く作業。
まず、周りに付いている壁を解体してゆく。
![DSC06612](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06612-360x270.jpg)
釘を打ちつけた方に、反対から叩くと釘が抜け簡単に柱は外れた。
![DSC06631](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06631-360x270.jpg)
今回のリノベーションでは、付け加えるというよりも、削ぎ落とす
というのが念頭にある。耐震補強や断熱補強といったものは付加し、
その他は、引き算の手法でデザインを固めていくことで、コストを
抑え、セルフビルドによる質の低下を防ごうと思っている。
下の写真は、道路正面にある連子格子の下の壁を中から剥いだ所。
道路から見ると、連子格子の下には「ささら子下見」と呼ばれる
板壁になっているが、その裏にはしっかり漆喰が塗り込められて
ある。函館大火の後に建てられただけあり、防火の意識もあった。
![DSC06633](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC066331-360x270.jpg)
下の写真、柱の上から横に留めた長押という部材は、書院風和室
などで良く見かけるもので、上から留めるこちらは本式のもの。
昔々は構造的に柱を繋ぐものだったが、今では意匠的なものに。
![DSC06622](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06622-360x270.jpg)
本式のものは、鴨居の上に載せて上から釘で固定している為、
下に当て木をして叩くと釘が抜け浮き上がってくる。
![DSC06668](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06668-360x270.jpg)
![DSC06672](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06672-360x270.jpg)
![DSC06675](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06675-360x270.jpg)
長押は少し格のある和室に用いられるもので、常盤坂の家では
1階は事務所なので、格式を崩す意味でも長押は外す方が良い。
残すところ、削ぎ落とすところのバランスも引き算のデザイン。
![DSC06707](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06707-360x270.jpg)
こちらは、土台と基礎の水平をチェックしている様子。レーザー
の赤いラインからの高さを計りチェックしていく。
地盤はしっかりしているので、狂いはほとんどないが、大黒柱の
周辺が荷重が掛かるので、少し沈んでいた。
![DSC06684](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06684-360x270.jpg)
![DSC06693](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06693-360x270.jpg)
![DSC06695](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06695-360x270.jpg)
![DSC06712](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06712-360x270.jpg)
![DSC06721](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/01/DSC06721-360x270.jpg)
さあ、いよいよ基礎補強工事へと続きます。