第21話:金物補強

暦の上では春分を迎えましたが、函館は今日も雪が降っています。
最近は一応、春なので他の現場も動きだしなかなか、常盤坂の家に
足を運べなくなってきました。土台も敷き終わり、スローペース
ですが、また一人、金物による耐震補強工事を進めています。

▲新設の基礎にケミカルアンカーを打ち込む。

あらかじめ開けておいた基礎の穴に、ケミカルアンカーという樹脂を
流し込みボルトを差し込むと、基礎と一体に強固に固まります。
そこに、土台の浮き上がりを防止するアンカーボルト、柱の引き抜き
防止用のホールダウン金物というものを取り付けます。
耐震補強の金物は、取り付ける場所によって掛かる力が変わって
来るので、各必要耐力に耐えうる金物を選択し取り付けてゆきます。

▲角の柱のホールダウン金物は特に重要な耐震要素。

下の写真、差し鴨居という梁を兼ねる大きめの鴨居がありますが、
この上に柱が建ち、いわゆる”まぐさ ”という役割も持っています。
この差し鴨居に掛かる梁の仕口に隙間が あったので、掛矢という
大きめの木槌で横から軽く叩くと、なんと、差し鴨居に亀裂が!

▲差し鴨居に亀裂が入り、すぐに横にサポを建て支える。

かなり焦りました。大梁も受けかなりの荷重を支えていたのですが
繊維に直行に木が裂ける事は稀です。すぐに、鴨居溝を彫り込み
2,5寸角の柱を建て込みました。

▲柱のやや左上に亀裂が見える。
▲手前の右から2本目が新たに建てた柱。1寸だけだが細く見える。

土台のアンカーボルトを締め、柱の根元を土台と結んでゆきます。

▲角の柱ほど力の掛からない部分のホールダウン金物。左は埋木。

柱の足元が決まると次は柱の頭を留め、梁周りを締めてゆきます。

▲柱の頭を梁に緊結し、胴差しと梁は羽子板ボルトで締める。

耐震改修などで、外壁を弄らないでやる時に役に立つのが下の写真。
こちらのレンコン金物という羽子板は、外壁に穴を開けなくても
同等の耐力を得られる優れもの。手間とコストも省けます。

▲多少の引き寄せも可能なので便利なレンコン金物。
▲梁の継手や、柱の継手補強には短冊金物。ここは外壁面になる。
▲アリ掛けが抜けかけていた部分は梁受け金物。下端にレンコン金物。
▲木の火打も緩んだ所は鋼製の火打金物に取り替え。根太も追加。

物置部分など2坪を減築するので、新たに外壁になる部分に間柱
を入れていきます。右側にはテラスドアが入ります。

▲上から垂れてるのは防湿フィルム。後から施工しづらい所。

そして、常盤坂の家に一足早い春の訪れが。前日に結婚式を終えた
新婚の夫婦が東京に帰る前に遊びに来てくれました。

▲座っている左の新婚さん。お幸せに!

幸せオーラを直にもらうと、早く引っ越したくなってきました。
つづく〜