暦の上では立春を迎えましたが、函館はまだまだ寒い日が続きます。
毎日朝一番に薪ストーブに薪を焼べ作業が始まります。
![DSC07519](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07519-360x270.jpg)
さて、ジャッキを掛け半分浮いた状態の常盤坂のは、続いて腐った
土台の入替え、腐った柱の足元の根継(ネツギ)作業へと進みます。
常盤坂の家は、土台全体の2/3は腐っていて取り替えとなります。
![DSC07534](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07534-360x270.jpg)
こちらは、大黒柱に当たる部分。 2㎝近く基礎も沈んでいた所で、
2階からの荷重が最もこの柱と土台部分に掛かってくる重要な所。
中通りのこの部分まで腐りが進行しているのは、それだけ湿気が
溜まっていた証拠でもある。 今回打ったコンクリートの土間は、
上からの荷重を均等に地面に分散する耐圧板の役割と、もうひとつ
地面からの湿気を押さえる防湿の役割もある。
![DSC07538](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07538-360x270.jpg)
![DSC07547](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07547-360x270.jpg)
柱の足元は欠損部分も多く、腐れも中まで進んでいる状態なので、
途中で切り、継手で足す根継をする。継手は追っ掛け大栓継ぎ。
![DSC07555](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07555-360x270.jpg)
![DSC07570](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07570-360x270.jpg)
柱の黄色いテープの上の高さが既存の基準レベルになっていて、
青いテープの上のラインを、黄色いテープのラインまでジャッキ
で上げて柱を納めると、2階の床も水平になるという事。
![DSC07573](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07573-360x270.jpg)
新たに継ぎ足す柱は、新しい土台に使うものと同じ米ヒバ。
継手にも男木と女木とがあり、一方からしか組めなくなっている。
![DSC07596](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07596-360x270.jpg)
![DSC07597](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07597-360x270.jpg)
![DSC07591](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07591-360x270.jpg)
続いて、更に腐れが酷い事になっている坪庭側の土台を取り除く為、
2階の角にあたる通し柱の部分にジャッキを掛ける。
![DSC07506](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07506-360x270.jpg)
こちらの土台の外側は坪庭の土に埋もれていた。その為、坪庭の
梅の木の根っこが土台の中を通っていた。土台と一緒に根っこも
取り除く。この状況、本当に坪庭を掘り下げて良かったと思う。
![DSC07525](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07525-360x270.jpg)
![DSC07608](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07608-360x270.jpg)
角の通し柱も根継するのに途中で切り落とし、土台を入替える。
![DSC07615](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07615-360x270.jpg)
![DSC07614](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07614-360x270.jpg)
次に中通り、長手の土台を追っ掛け大栓で継ぎ足した状態のまま、
合わせて4間半(約8.2m)もの長さの土台を敷いてゆく。
![DSC07618](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07618-360x270.jpg)
![DSC07619](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07619-360x270.jpg)
![DSC07626](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07626-360x270.jpg)
新旧の土台を斜めにアオりながら組み、途中の柱の下を滑らせて
中通りの土台のホゾを差し、最後に坪庭側の土台に長手のホゾが
差さるように納める。言葉では分かりにくいが、こうした作業は
新築以上 にとても弊害が多いので、継手の方法や組む順番までも
念入りに考慮しておかなければ組めない高度な技術の為、熟練の
大工の腕と経験が必要になる。
![DSC07635](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07635-360x270.jpg)
![DSC07629](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07629-360x270.jpg)
土台を入替える時、土台に差さった柱のホゾは切り落とさなければ
後から入れる土台が滑り込めない為、 この足元が最も障害になる。
通常は金物などで処理するが、木造の本来の粘り強さを活かすのに
やはりホゾはある方が良い。そこで、大黒柱の部分は当初のように
長ホゾで組めるように考えた結果が下の写真。
![DSC07631](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07631-360x270.jpg)
![DSC07647](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07647-360x270.jpg)
長ホゾを差した状態で、スライドさせながら追っ掛け大栓継ぎが
できるようにした。 横の穴は後から埋木しダボで綴じる仕掛け。
このやり方があるのか分からないが、独自に考えてみた。
![DSC07640](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07640-360x270.jpg)
まだ組んでいないが、新たに打った基礎の養生が外れるまで、
土台仮敷きのまま大工さんは少しの間、現場を抜ける事に。
そして事件が。。。
![DSC07637](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07637-360x270.jpg)
薪にするのに、腐った土台を切っていると、切り口から大量の蟻。
![DSC07728](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07728-360x270.jpg)
この土台は何処を切っても蟻が出てくる。
![DSC07737](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07737-360x270.jpg)
そしてこの土台は坪庭側から取り除いた部分。。。
![DSC07733](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07733-360x270.jpg)
もしや、シロアリに喰われていたかと思ったが、シロアリには
蟻のようなクビレは無い。山博士のファイヤピットさんに聞いた
ところ、ムネアカオオアリではという事で調べた所、そのとおり。
なんと日本では最大種の蟻のようで、朽木の中に巣を作るよう。
本当に大きいものは2㎝くらいありました。衝撃のあまりに、
すぐに薪ストーブの中へ入れていましたが、後から調べると、
なんとなんと、ネットにあるアリの専門店では、女王アリ1匹と
働きアリ10匹で3800円で取引されているでは。
そして、このムネアカオオアリはシロアリを食べるらしい。
![DSC07762](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07762-360x270.jpg)
ムネアカオオアリは、冬の間は集まって巣に入っているので、
処分した土台の中に大半がいたと思われるが、 念のため他の
替えなかった土台にシロアリ駆除の薬剤を、注入する事に。
こういうものは本当に使いたくないが、アリを根絶する為に
基礎周りや新たな土台にもやっておく方がよい。
なるべく人体に 影響の少ない水性のものを選び、取り寄せた。
![DSC07791](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/02/DSC07791-360x270.jpg)
しかし、現場に着いた時には、中身が凍結してしまっていた。
塗布前に凍結すると駆除効果が低下するということで、返品。
再度、梱包しなおしメーカーから送り直してもらう事に。
つづく。。。