第14話:コンクリート打設

床も均されスッキリしました。やはり、足元が良いと気分も良い。
さて基礎の補強工事は、続いて差し筋を入れていきます。
差し筋とは、コンクリートに差してあげる鉄筋の事を言います。
コンクリートは圧縮に強く、引っ張りに弱い。鉄筋は圧縮に弱いが、
引っぱりに強い。互いの長所を活かし初めて鉄筋コンクリートは
頑強な強度が得られます。
既存の基礎には鉄筋が入っておらず、大きな地震には耐えられない。
差し筋は、既存の基礎と新たな基礎とを一体にする為に入れます。

▲まずドリルで既存の基礎に差し筋の穴を開けていく。

一般的な差し筋アンカーは穴を開け、鉄筋を叩き入れ、先が中で
穴の中で開く事で抜けなくなるもの。しかし、古い基礎に叩いて
入れるとコンクリートがひび割れして十分な強度を得られない。
今回使うアンカーは注入型接着系アンカー。穴に樹脂を注入し、
鉄筋を差し、樹脂が硬化することで鉄筋が抜けなくなるもので、
低温下でも使えて、施工性もよく十分な強度を発揮してくれる。

▲穴の中をブロアーとブラシで清掃し、接着系アンカーを注入。

注入型接着系アンカーで計170本の差し筋を打ち込む。

▲鉄筋を入れ、樹脂が出るとセット完了。今時期だと硬化まで8時間。

続いて、土台のアンカーボルトの加工。大工さんに借りていた、
バーベンダーという鉄筋曲げの機械で曲げる。
土台のアンカーボルトは基礎からズレないようにする為のもの。
石積みの上の土台は、上からのアンカーボルトが効かない為、
羽子板ボルトで代用し新たに打つコンクリートに横から効かせる。

▲石積みの上の土台に取り付ける羽子板金物。
▲新たな基礎に効かせるアンカーボルトも曲げ強度アップを図る。

私の方での準備も整い、SK佐々木建設さんが鉄筋を組みにきました。
まずは、地面からの湿気を防ぐ防湿フィルムを砕石の上に敷いてから
鉄筋を組んでいきます。

▲こんな派手な色のフィルムは初めて見る。。。
▲鉄筋を組んでいきます。凹んだ所が、新たに設ける地中梁。

差し筋、アンカーボルト、ホールダウン等は全てセルフビルド。
ケミカルアンカーは少々高価なので地道にコストダウンを図る。

▲石積みの上の土台アンカーボルトなどセット。

半分解体してあった立ち上がりの基礎にも鉄筋を立ち上げておき、
スラブを打った後に、更に新たに基礎を抱かせるように補強する。

▲手前が柱のホールダウン用、奥が土台用アンカーボルト。

こうして、基礎の補強コンクリートスラブを打つ準備が整った。
コンクリートという頑強な構造物は失敗が許されない為、打つ前は
現場にはとても緊張感があります。確認作業も入念になります。

▲鉄筋も組み上がると整然となり美しい。

1月21日、大寒の日の朝、常盤坂の家に生コンのミキサー車が。
いよいよ、コンクリートの打設が始まりました。

▲朝は少し雪がチラつく中の打設スタートになりました。

SK佐々木建設からコテ均し1名、ネコ押し3名、そして私は、
バイブレーターの係で計5名の連携作業の始まりです。

▲生コンの入ったネコはとても重く、押すのも大変な作業。
▲奥から順番にネコでコンクリートを運びます。
▲コンクリートを入れた場所から順次均していきます。

コンクリートを流し、バイブレーターを掛け鉄筋の下や隅まで
均等にコンクリートが回るようにします。それから、木ゴテで
押さえ、最後に金ゴテで押さえて進んでいきます。

▲木ゴテで均す様子。この段階である程度高さを合わせます。

木ゴテで終わる仕様だったのですが、職人さんの計らいで金ゴテで
仕上げてくれました。 とても有り難い事です。

▲金ゴテで押さえる様子。高さも合わせ綺麗に均す職人技です。
▲最後の追い込み。

ミキサー車2台分、7立米のコンクリートを人力で打設しました。

▲8時半からスタートし、11時に打設完了。

冬場のコンクリートは打設後、大切に養生しなければなりません。
コンクリートは気温が低いと硬化時間が著しく長くなり、強度が
出るまでもとても時間が掛かります。
打設の完了と共に、ジェットヒーターを炊き続け、コンクリート
温度を2℃以上に保たなければなりません。そして、夕方から
晩にかけ、コンクリートの水が引いた頃に、もう一度、金ゴテで
押さえセルフにて仕上げていきます。下地が上手いので楽だった。

▲日中夜、ジェットヒーターを炊き続けなければなりません。

運良く、大寒にも関わらず、この日は最低気温が1℃と+の気温。
翌日も 最高気温が5℃と、この時期にしては異例の気温の高さで
コンクリートの硬化も早く進んでいます。

▲翌朝の様子。大分、乾いてきているのが分かる。
▲打設後、翌晩の様子。乾いて白くなっているのが分かる。

ジェットヒーターは6時間置きに1日4回、灯油を補給し続ける。
その為、夜中も現場に足を運び続けなければならない。同時に、
表面だけ乾燥が進むのを防ぐ為、コンクリートに水打ちも行なう。

▲水打ち後の様子。ヒタヒタでもすぐに水気は引いていく。

2日目には、硬化も進み歩けるようになるが、それでもまだまだ
強度は出ていない状態。

▲翌々朝の様子。表面は硬化し歩行できる。

コンクリートも生き物のようで、しっかりと水打ちをし潤いを与え
ていかなければ品質の良いコンクリートにはならない。
冬場の時期は、5日間は暖を取り水打ちを続けなければならない。

▲水打ちはマメにした方が、表面のひび割れなども防げる。

今夜から一気に−10℃まで冷え込むので、ジェットヒーターと
更に、練炭も炊きながら養生をしに行ってきます。

根気のいる作業はまだまだ続きます。