南へ

5月末に宮崎へ地元の杉を使った取り組みの視察に行って来ました。
宮崎空港を降りるとヤシの木が林立し、南国の様相が広がります。
宮崎から案内役の海野さんと合流し日向岬を周り、馬ヶ背を案内いただく。

▲日向岬 馬ヶ背

この地は古事記や日本書記に描かれた神話の舞台でもあるだけあって、
土地が持つエネルギーをひしひしと肌で感じた。
夜は宮崎名物の鳥南蛮や焼酎を飲み、夜の日向駅へ。駅舎は内藤廣氏の設計。

▲地元杉を使った変断面集成材と鉄骨のハイブリッド架構

10年もの歳月を掛け行政や市民、関係者が協力して完成させた。
駅もさる事ながら、その周辺の駅前整備においてもベンチから街灯などのファニチャー、
こもれびステージなど至る所に地元の杉がしっかりデザインされ使われていました。

▲日向駅外観。キャノピーや中央コンコースの杉の架構も美しい。

多くのデザイン会議、市民ワークショップを重ね、課外授業では子供たちも巻き込んで
一緒にまちづくりを考え、ものづくりの楽しさを伝えている。
本当に素晴らしい景観や文化をカタチにした 日向の街に驚かされた。

綾町 へ移動し、杉の大断面集成材による屋根を掛けた綾てるはドームを見学後、
隣に隣接する綾中学校を見学させていただく。

▲鉄筋コンクリートだった校舎を木造で建て替えられた。

綾町は日本最大級の照葉樹林がありユネスコエコパークに指定され、自然と共存する
持続可能な地域として世界的なモデルになっている。 この学校は町有林を使って、
地元で製材し、住宅に使われている低コストのユニットや金物で組めるように
検討され、工期も短縮しコストも抑え完成した。
内部はとても明るく木の温かみが感じられ、先生や子供達も活き活きしていた。

最終日は日南市へ。日南市は地元の飫肥杉を使って飫肥杉ダラケのまちづくりを
進めるべく市役所内に飫肥杉課を設置し、景観や観光、林業など縦割り行政ではなく
多角的にその利用促進を図ってきました。
そんな中で市民参加で完成した夢見橋を見学。夢見心地な気持ちのよい橋でした。

▲ボルトや金物を使わず木組みで飫肥杉を使って建てられた。

また、日南市ではSUGIFTをはじめ飫肥杉を使ったプロダクトの開発にも積極的。
もう少し時間があれば是非行きたかったのが、オビダラリー。空き店舗だった
築100年の古民家で始めた飫肥杉のアンテナショップ。驚きなのが、いまでは
地元の森林組合が運営していること。いまある資源である飫肥杉をみんなが愛し、
情熱をもって支えている市民力に感心させられた本当に良い視察となりました。
現地でご案内頂きました皆様に心から御礼申し上げます。