第16話:三位一体の外構工事

まだ雪の降る中、3月の伐採からスタートした大屋根の家も
8月に入り、いよいよ完成&引き渡しの日が近づいてきました。
建物本体の工事はほとんど終わり、これから外構の工事などが
始まります。 カーポートには、透明の波板の屋根を葺きます。

▲大屋根の家では隠れていた小屋組みがスケルトンで見えてきます。

屋根の下にいるのに、空と木々の緑が透けて気持ちがいいです。

▲カーポートは必要最小限の屋根と壁で構成。

そして、ダイニングの前にはウッドデッキを作ります。
こちらの材料も、三上製材さんの道南唐松。油気の多い、腐り
づらい赤身の唐松はウッドデッキに最適です。

▲壁も床もランダムに目透かしの乱尺張り。

十和田石とヒバのお風呂から外に直接出られるように、唐松の
プライベートデッキが続きます。

▲壁の高さは中からの目線に合わせています。
▲隙間ができないよう目板張り。西日の木漏れ日綺麗です。

内部の塗装は白でも茶でも在り来たりなので、唐松の赤身と
白い防腐剤で雪模様のグラデーションをつけて塗ってみた。

▲FP大石さん曰く、美味しいスイーツのようだと。

玄関前には風雪よけの手摺壁を設置する。

▲鉄骨フレームの頑丈な唐松の壁。

いよいよ車路や遊歩道の外構工事が始まりました。
車路やカーポートなどの路盤には、300ミリの切込砕石を入れ
ランマーで転圧をしていく。

▲後から路盤が下がらないよう念入りに転圧する。

3月に伐採した木は、三上さんで挽いてもらって枕木にしていた。
ダンプを借り、慣れない運転でその枕木を取りにいく。

▲1Mで約120本の枕木ができました。

日本の森林資源は先進国で3位なのに、自給率が2割も満たない。
こんなに多くの森に囲まれているのに、信じられない現実です。
伐採された木が、枕木になって約5ヶ月ぶりに戻ってきました。
半分は枕木になり、半分は薪として冬の暖をとるエネルギーに。
これこそ究極の地産地消 。ウッドマイレージはほぼ0に近い。
身近な資源で作る、環境の為にできる事はまだまだありますね。

▲自然な感じでランダムに枕木を敷き詰めていく。

砕石を転圧した床に砂で調整しながら枕木を敷いていく。
設置が終わると、この土地で出た火山灰の残土で枕木の表面
まで 埋めて、更に転圧をし散水して路盤を落ち着かせる。

▲火山灰は水はけが良いので外構には重宝する。

ウッドデッキ前のテラスを兼ねたドックランの中央には平板を
敷き、ドックランの周りに唐松の木杭を建て板壁を張っていく。

▲ダイニング〜ウッドデッキ〜ドックランと繋がります。

天候で延びていた塗装屋さんもやってきました。
カーポートと内部建具&家具はプロに仕上げてもらいます。

▲カーポートは白いウレタン塗装3回塗りで仕上げます。

カーテンやブラインドの取り付けも終わった内部では、キャット
ボックスも周辺をクリア塗装し、奥の壁面のみ四季折々の色を
調合してもらい散りばめました。

▲さくら色、きはだ色、わかみどり色、そら色。

厚物合板フレームのキッチンも綺麗に仕上がりました。

▲合板の木口はあえて見せています。

シンクを切り抜いた楢材で西村棟梁が作ってくれた、まな板も
しっかりセットされました。

▲『Rの繁ちゃん』の異名をもつ西村棟梁。ようやくRの出番が。

道路に面する場所に、もうひとつの小さな大屋根の家が 建ちます。
枕木で組んだところに、照明と表札がつきます。

▲枕木で組まれた小さな大屋根の家を設置する。

キッチンの勝手口を出ると、大工さんに枕木で組んでもらった
土留めのなかに黒土で50センチ程入替えた家庭菜園ができます。

▲管理するにもちょうどいい大きさの家庭菜園。収穫が楽しみ。

この日は、私とSK佐々木建設の親方の2人で全ての枕木を敷き
終える予定でいたが、ペースの遅さを見かねた大工さんが、
いつの間にかスコップを持って手伝ってくれていた。

▲この手助けが無ければ終わっていなかった。

土建屋さん、大工さん、設計屋といつの間にか、みんなで
協力しながら枕木を敷き詰めていた。 終わりが見えてくると、
もう少し、こうして皆でモノづくりをしていたいと思った。

▲この光景が一番脳裏に焼き付いている。チームがひとつになった。

大工さんの協力でなんとか枕木も敷き終わり、翌日は全体に散水
しながら、再度プレートで転圧を掛けていき、 表面の火山灰を
落ち着かせ、車路部分の表面にモルタルを舗装する。

▲モルタルを撒き、枕木を洗い出している。

舗装と言っても、モルタル自体には強度はあまり無いので、
表面の火山灰が飛び散らない程度。舗装をしていない火山灰との
境界は自然に繋がっていく。

▲手前が補助の駐車スペース兼、旋回スペース。
▲遊歩道のカーブも綺麗に仕上がっいる。

最後に、大工さんが作ってくれた小さな大屋根の家に、
杉本洋鍛冶工房で作ってもらったネームプレートを取り付ける。

▲可愛い大屋根の家の表札も完成しました。

みんなで力を合わせて作り上げてきた大屋根の家も完成間近。

▲大屋根の家の全貌がようやく見えてきました。

つづく。