遂に函館は一昨日、平年よりも少し遅れて初雪が降りました。
そして昨日で、常盤坂の家のリノベーションを始めてちょうど
1年が経ちました。 この家に出会った時から、天井と空間の
イメージが あり、思えば1年前の昨日、真っ先にこの天井裏
の調査に潜りました。その天井を仕上げる日がやってきました。
まずは、天井に張る材料の下準備から。
常盤坂の家に使われていた、天井板、壁の羽目板を大事に剥がし、
ご近所さんの ガレージをお借りし、保管してあったのを使います。
![DSC05226](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05226-360x269.jpg)
この板類は全て秋田杉。解体する時に、材料になるべくキズを
付けないようにするのに手間は掛かりましたが、 大事にすれば、
また再利用できます。
![DSC05296](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05296-360x269.jpg)
多くの板は壁に張ってあったもので、壁には板の上に新聞紙など
袋貼りして隙間風を防いだり、壁紙を貼ったりしていました。
この材料を木洗いしていきます。木洗いと言っても、薬品による
危険なものではなく、水洗いです。
![DSC05320](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC053201-360x269.jpg)
薪ストーブはフル回転で、すこしでも水を温めてもらいます。
![DSC05315](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05315-360x269.jpg)
紙を水に浸し、フヤけてきたらスクレーパーで剥がしていきます。
![DSC05326](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05326-360x269.jpg)
紙を剥がしたら、スコッチブライトの スポンジで頑固な汚れを
磨き落していきます。
![DSC05329](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05329-360x269.jpg)
洗い終わったものから、干しては乾燥させます。
![DSC05347](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05347-360x269.jpg)
そんな地道な作業を、せっかくのお休みの日に福田さんが
お手伝いに来てくれました。
![DSC05386](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05386-360x269.jpg)
取りあえず板の半分200枚位を洗うのに1週間ほど掛かりました。
まずは切妻天井から仕上げていきます。
天井を張る前に、壁と天井のぶつかる縁に、塗装をのせておきます。
![DSC05351](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05351-360x269.jpg)
これで、ようやく張り始められます。天井に張るのは、元々
2階の和室の稲子天井に使われていた無節のもの。
板は下から順に、少しづつ重ねる下見板張りにしていきます。
![DSC05354](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05354-360x269.jpg)
古い板に、新しいピカピカの釘は全く合わないので、この天井を
張るのに使う釘は、もともと使っていた錆びた釘を大事に抜いて
取っていたものを使います。同じ時を重ねたものが一番馴染む。
![DSC05352](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05352-360x269.jpg)
そして切妻天井が完成!
![DSC05378](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC053781-360x269.jpg)
どんどん行きます。つづいてようやく寄せ棟天井です。
こちらに張るのは、壁に使われていた相決の節のある板です。
![DSC05397](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05397-360x269.jpg)
寄せ棟天井も下の板に少しづつ重ねる下見板張りで、1段づつ
グルグルと張り進めて行きます。
![DSC05445](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05445-360x269.jpg)
![DSC05453](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05453-360x269.jpg)
木は季節によって、空気中の水分を吸放出してくれます。
板は湿気で広がったり、乾燥で縮んだりするので、その際に板が
割れないように釘はなるべく狭く2点打ちとします。
![DSC05487](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05487-360x269.jpg)
壁の板は幅が、8寸、7寸、6寸、5寸、4寸 と5種類あった。
これを万遍なく使わなくては間に合わないので、寄せ棟天井は
下から上に向かって、板の幅が狭くなるように割り付けて張る。
![DSC05496](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05496-360x269.jpg)
そして未来への贈り物として、抜け節のところには、今の時代を
未来に伝える為に、裏にメッセージを書いて新聞紙を当てる。
![DSC05495](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05495-360x269.jpg)
![DSC05520](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05520-360x269.jpg)
そして遂に寄せ棟の天井も完成しました。
![DSC05560](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/11/DSC05560-360x269.jpg)
あっという間の一年。そして常盤坂の家リノベーションまさかの
二年目に突入です。(もう、いつ完成とは口に出せません。。。)
この一年で感じたことは、その地域やその場所、その歴史的背景
を知り、未来を考え、ここで何ができるかを考えること。
考えたことを少しでも多くかたちに残し、伝えていくこと。
それは大それたモノにお金を掛けるだけではなく、
手間と愛情をかけてゆくことで残せるモノがあるということ。
終わりなき常盤坂の家での模索。
つづく。