第34話:廻り階段

蒸し暑い日々が続いている常盤坂。
そんな中、そろそろやる自信のなかった廻り階段に
挑戦する時がやってきました。難易度MAXです。
さらに古材を活用しての階段作りになります。

▲総ヒバ作りの階段。

元の階段は、上がり始めが廻りになり、そこから直階段になって、
半畳の踊り場があり、そこから更に直階段になっていました。

▲踊り場部分。元々右の床が切れた所で上がりきっていた。

その半畳の踊り場だった部分から上を、更に廻り階段にします。
以前よりも手前で2階に上がり切る事で、新たに入れたサッシ
からアルターナに出やすくなります。
まずは、踊り場の床に地墨を出します。これは僕にとっては、
原寸で現物に図面を書いているようなもの。

▲もともと踊り場に張ってあった床板を仮敷き。

地墨を板に移し取り、それに合わせて一枚づつ切断。

▲パズルのようになってきました。

こちらの板は、元の踊り場の物を綺麗に剥がして再利用。

▲本実加工されていた床板。

廻り部分の段板は元の床材を使って行くので、一段目の前縁を
解体した古材から合いそうなものを加工します。

▲良い寸法のものはなかなか無いので、材を裂いて使います。
▲柱などにしっかりと木を組めるようにします。

この廻り階段は、側板や幅木はつけないでシンプルに納めます。

▲蹴込板は元の直階段のもの。寸足らずになるので古材で付け足す。

この前縁に合わせて一段目の床板の下地を組んで行く。

▲通常の床よりも頑丈に下地を組む。
▲また形に合わせ床板を切り、納める。

慣れないので、一日一段というようなペース。残業が続きます。

▲四角い穴は、小屋裏収納の明かり取りのガラスブロックが入る。
▲張る板が古材なら、下地も古材。

やり初めて3日目。ようやくここまで上がってきた。

▲2段目。山場を超えた。

3段目からは、元の直階段の段板を使う。
この階段下は、収納として1階から使えるようになる。

▲こちらも若干寸足らずだが、良きに計らう。

そして、ようやく上がり框。

▲框も古材を転用。ここからは元の段板を張る。
▲ジャーン!完成!

3日半も掛かってしまいましたが、なかなかの仕上がりです。
同じように年月を重ねてきた材料なので馴染みきっています。

▲上から見ると、とても綺麗な造形美。

手仕事の跡を残しながら作る、のが古民家にとっても大事な事。

▲一番苦労した部分が、もっとも美しい。

つづく。