第33話:屋根の上

先週は常盤坂の家も久しぶりに快晴の日々が続きました。
窓の外はナナカマドの葉がキラキラと眩しく輝いて見えます。
断熱材も入れ終わり、いよいよ針葉樹の構造用合板を張って、
面材による耐力壁を作っていきます。

▲3時頃から格子を通して光が差し込んで来る。

土台と基礎を緊結し、土台と柱、柱と梁の接合部等を金物で
補強し、この面材を張ってようやく壁の耐震補強になる。

▲まずは仮止めで張り進める。

そして、嶋崎板金さんが屋根の葺き替えに来てくれました。

▲周りが狭いので材料を上げるのも一苦労。

快晴の屋根の上は気持ちが良い。函館山の裾野に位置する
常盤坂の家も、この屋根に上ると一気に視界が開ける。

▲函館港の右にある緑の島からは花火も上がる。

吊り子というピースを野地板に留め、それに引っ掛けるように
長尺のガルバリウム鋼板を留めていく。

▲屋根は比較的安価な長尺の蟻掛け葺き。

葺き終わったら中に入れた吊り子を掴むように、出っ張った
ハゼと呼ばれる流れ方向の筋を潰して締めていく。

▲このマッチョな腕は嶋崎さんの息子さんで3代目。

職人を大事にする嶋崎さんの元では若手もしっかりと育つ。

▲逆を見れば函館山。海〜山のパノラマはいつ見ても良い。

難しい天窓周りもしっかり納まり屋根も完成。
下屋ではガルバリウムの素地を使ったが、こちらはカラーもの。
この界隈は切妻の瓦屋根の蔵がまだ多く点在するので、軒先を
切り、まさに蔵のような形態になったこの屋根は、蔵の瓦を
模し艶消の濃いグレーにしている。 屋根の上から眺めていると、
屋根の連なりが街の景観にとって大事なものだと良く分かる。

▲普通だと破風も屋根の色だが、蔵を模すのに白にしている。

嶋崎さんによる板金工事も残るは外壁だけとなった。

▲外周部は大壁といって柱を隠すように合板を張る。

そして、週末はお友達の福田英宏建築設計事務所の福田さんが
ブログを見て、忙しい中わざわざお手伝いにきてくれた。

▲解体した古材の釘抜きをお願い。

外周部を張り終わり、さらに袖壁の下地を組み構造用合板を
張っていく。

▲正面に開口部が多いので、この袖壁は大事な耐震壁になる。

仮止めして張ったところの釘打ちを福田さんにお願いしてみる。

▲この合板1枚の釘は約90本を半日掛けて打っていた福田さん。

一般の方が思うほど、意外に建築家や設計士さんは大工仕事は
できないもの。 実際に私もこの家をリノベーションするまでは、
合板を切る丸ノコなど使った事はないし、ノミやカンナなど、
全く使えないけれど、知識はあるので見よう見まねでやっている。
技術がないなりに、できる範囲の納まりを考え進めていく。

▲こちらは元々押し入れだった部分。一番右が床の間だった。

そうして少しづつではありますがようやく形になってきました。

▲壁ができてくると段々と狭く感じる。

つづく。