常盤坂の家には仮設トイレもなく、いつも近くの
ドラッグストアさんにお世話になっています。
だから早くトイレが欲しい、ということで
1階のトイレから作りあげていきます。
![DSC02245](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC022451-208x278.jpg)
サッシは元もと付いていたもので、その上のまぐさ(梁)が
2階角の柱になっていて、5寸の梁だけで受けていたので、
この梁に補強を入れながら窓辺を心地よくしていく。
まず、この出窓の樹脂の部分を隠すように窓枠を内側に組む。
![DSC02291](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02291-360x269.jpg)
さらに内側に古材の土台を付けたし、柱を建て、枕梁を加える
![DSC02313](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02313-360x269.jpg)
![DSC02303](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02303-360x269.jpg)
新たに付け加えた窓台の下は、下地を組み断熱材を施工。
![DSC02330](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02330-360x269.jpg)
窓下の壁を張り、ニッチ収納部分に木のボックスを嵌め込む。
手前の柱間には、差し鴨居と敷居を入れ引き戸になるように
袖の薄い壁の下地をくむ。差し鴨居は込み栓と楔で固定した。
![DSC02399](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02399-208x278.jpg)
![DSC02406](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02406-208x278.jpg)
そして、これからがメインイベント。
独立前の師匠の元にいた修行時代に、現場で出た木の切れっ端を
現場の掃除をしながら拾っては、樹種サンプルとして集めていた。
切れっ端だが、ひとつひとつに想い出がある。
![DSC02423](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02423-360x269.jpg)
それと、常盤坂の家の屋根裏から出てきたお菓子などの木箱や、
木のフタ、表札などのいろいろな木々のコレクション。
![DSC02431](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02431-360x269.jpg)
自分の積み重ねて来た記憶、常盤坂の家の積み重ねて来た記憶を
融合させ、窓下の壁にコラージュします。
『プリコラージュ』とは、見近に手に入るものやあるものを活かし
新たな価値を見出し作っていく手法で、古民家のリノベーションを
する上でもとても重要な手法で、常盤坂の家でも念頭に置いている。
トイレのような小さな空間では、そうした”遊び”をいれるのに
ちょうどいい大きさで、じっくり鑑賞も出来る。
まず、手洗いのカウンターを3枚の候補の板から、最も馴染む
蔵の板戸の切れ端に決め、これを要に構成していく。
![DSC02426](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02426-208x278.jpg)
切れ端のコラージュには、自分なりの3つのルールを決める。
①縦の目地は通さないよう、水平目地を強調する。
②同じ樹種が隣り合わないようにする。
③隣りとの厚みを揃えない。
![DSC02449](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02449-360x269.jpg)
![DSC02451](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02451-360x269.jpg)
貼るというより、積み上げる感覚。
この3つのニッチは、一番下がペーパー入れ、左上がスプレー等の
備品入れ 、右上がアメニティ入れになっている。
![DSC02499](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02499-360x269.jpg)
と、ここらで、必要になるアイテムを作りに鉄人の元へ。
![DSC02454](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02454-360x269.jpg)
来たのは、杉本洋鍛冶工房。常盤坂の家の一部を解体する時に
かすがいやU字のピンなどがでてきたので、それを使う。
まずはU字のピンを曲げて ペーパーホルダーを作ってもらう。
![DSC02461](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02461-360x269.jpg)
つづいて、かすがいでハンドルをアドリブで作ってもらう。
![DSC02485](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02485-360x269.jpg)
そして最後に蜜蝋を塗って出来上がり!
さすが鉄人杉本さんです。ありがとうございます!
![DSC02489](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02489-360x269.jpg)
そしていつからやっているのか、、ようやく コラージュ完成。
その全容を少し紹介いたします。
トイレ入り口の片引き戸は、昔のトイレの引違い戸を転用。
2階の和室にあった欄間は片側障子を張って入れ込む予定。
![DSC02580](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02580-208x278.jpg)
手洗いは、床下から出てきた素焼きの植木鉢を転用します。
右上の出っ張りに鏡スタンド、その左下の緑青した胴板を張った
出っ張り部分はハンドソープを置く台になっている。
![DSC02629](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02629-360x269.jpg)
![DSC02588](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02588-360x269.jpg)
![DSC02595](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02595-360x269.jpg)
![DSC02607](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02607-360x269.jpg)
![DSC02623](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02623-360x269.jpg)
そして、一番下のニッチの上には、横長の少し大きめの真樺の木が
アームレストになっていて、その右下にペーパーホルダーが。
![DSC02609](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02609-360x269.jpg)
![DSC02625](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02625-360x269.jpg)
無作為のようにバラバラに見せ、必要なところにあるべきものを
しっかりと配置する。さらにそれを自然に見せる。
ある材料、ある資源を使い作り上げる。『プリコラージュ』は
西洋の考え方であるが、日本にも同じような千利休の『見立て』
という手法があるように、かつてはそれがアタリマエだった。
好きな物はお金を出せば、簡単に買える今の時代では、時間と
手間が掛かりなかなか難しいのだが、 プリコラージュする事で、
常盤坂の家が重ねてきた”時の記憶”を未来に繋いでゆける。
![DSC02582](http://togashimasayuki.info/wp-content/uploads/2012/07/DSC02582-360x269.jpg)
そんな想いを大事に設計をしていきたいと常々思う。
つづく。