街角NEWCULTUREは2021年の海の日から、
イベント名をそのまま施設名として進んできましたが、
2024年5月16日より施設名を新たに『航路 / kohro』と名称変更し、
「地域循環」をテーマに新たに出航します。
〈航路 / kohro〉は、子どもたちが安心して暮らせる未来に向け
「自然を敬い、文化を育み、地域循環する暮らし」の航路を
地域のみんなと築いていければと思います。
route to the future = nature × culture × local circulation life
地球規模で自然環境が崩壊しかけているいま、
自然を敬い、そのサイクルに沿うように暮らし、
地域の自然や環境を耕して生まれた文化を育み、
地域ごとに循環し暮らしていける未来に向けて、
いま大きく舵を切ります。
『航路 / kohro』では、循環する暮らしを前向きに築いていこうとする
POP UPなどを応援し、積極的に支援していきます。
かつて、北前船で廻船業を営んだ高田屋嘉平は『航路 / kohro』の前の
堀割(地面を掘ってつくった水路)を通って、
自身の造船所と、高田屋の屋敷を行き来していました。
函館では昆布などを積み込み、寄港地でまたその土地の物資を積み込み、
多くの物資とともに、夢や希望、文化も届けたと思います。
いまとなっては、北前航路は衰退しましたが、新たな思いをのせて、
自然や文化や人が循環する航路をつないでいきたいと思います。
この建物は、昆布などの海産商の店蔵として1931(昭和6)年に建てられました。
その役割を終えたのち、池見石油店が再生して
北前船と真昆布の歴史資料を展示する「昆布館」になり、
建て増しされた「キングオブキングス」(昆布のタレを使った焼肉バイキング)と
2階で接続された複合施設になりました。
ここが閉館し荒廃していた建物を、富樫雅行建築設計事務所が引き継ぎ、
複合POP UP施設「街角NEWCULTURE」が誕生しました。
そしていま、『航路 / kohro』として循環する暮らしを目指して冒険がはじまります。
『航路 / kohro』の役割は、都市部だからできる地域循環する暮らしを、
みんなに見えるカタチで発信し、触れてもらい、意見交換し、
さまざまな航路を模索していくことです。
その一員として、富樫雅行建築設計事務所で作る建築も
“土に還る建築”を目指していきます。
解体されたあとの物質としての未来を設計段階から考慮し、
将来に渡っても自然界で分解ができ、再活用も容易なものづくりを考えていきます。
これからの地域活動は、増えゆく空き家・空き地の再生方法のひとつとして、
小さな地域分散型の自然循環農園の普及に力を入れます。
コンポストを設けて生ゴミ堆肥をつくり、土に還して野菜や作物を育て、
収穫しておいしくいただき、また循環する。
これまでネガティブだった少子化や空き家・空き地問題も、
駐車場が増えたり、荒れ放題の土地になったりするよりも、
土に還し、菜園にすることで明るい未来を描けると思っています。
またバイオトイレや雨水利用や発電装置など自産自消できる、
災害にも強い地域循環する暮らしも同時に築いていきたい。
とはいえ、オープンにしていくと農地法や廃棄物処理法など
超えていかなければいけない壁もたくさんあります。
まずは、個人や施設として実践し、その輪を広げ
少しずつ前進していければと思います。
これも昨年末、リサイクル率日本一の鹿児島県大崎町のリサイクルシステムを学び
感銘を受け、少しでも自分の暮らすまちでも、
子どもたちに地域循環する暮らしを残したいと思いました。
私も春からいろいろなコンポストを試したり、
北海道向けの生ごみ処理器「キエーロ」を試作したり、市民農園で畑を始めたり、
自然栽培農学校に通って座学と実技を勉強したり、
土に触れる機会が増えてきました。土に還るってどんなものなのか、
どんなことが土のなかで起きているのか、暮らしと土の関係がどう影響し合っているのか、
これまで考えていなかった学びがとても多いです。
最後にもうひとつやりたかったことを。 子どもたちには、小さいうちから、まちのことを少しでも考えて、 まちづくりに加わってほしいと考えてきました。 いままでのまちや建築は、経済優先であったり、大人の都合であったり。 それを子どもの視点で考えていくとどんなまちや建築になるか。 自分の子どもとの時間もなかなかとれない、でも一緒に考えて取り組みたい、 そんな思いを同時に叶える『こども建築家のまちづくりがっこう』を小さく、 少数でまず始めてみること。意識を切り替えて、 自分も一緒に考え学び実践する場に、『航路 / kohro』がなれればと思います。
『街角NEWCULTURE』は、富樫雅行建築設計事務所主催での、 年に1回、海の日の循環型POP UPストアとして活動していきます。 これからも建物のハシゴ再生を続けながら、地域活動を継続してゆきます。 今後の『航路 / kohro』もあたたかく見守り、育てていただけると幸いです。
『航路 / kohro』のロゴやサインなど、函館のデザイン事務所〈Suga Design〉の菅さんのデザイン。 @suga_design
インスタグラム@kohro_hakodate