第29話:外周り

常盤坂の家は、運良く天気に恵まれ外周部の改修日和です。
これから、大工さんに応援を頼み少しハードワークが続きます。
南側の屋根と壁は特に傷み具合が激しく、すべてを直すとなると
コストと手間が掛かり過ぎるので、中途半端に出ていた軒先と
腐りかけていた2階の出窓は、この際、切り落とす事に。

▲出窓を解体する繋さん。

まず2階の出窓、南側の外壁、1階出窓の小屋根を解体する。

▲すこしキャシャな構造体が姿を見せる。

2階の胴差には元口(根に近く太い方)7寸の太鼓梁が入っているが
2間間にとってはいくら太鼓でも細すぎるので1階の出窓の鴨居は
梁が下がった分、鴨居も下がったので戸の走りがキツくなっていた。

▲細い太鼓だが、やはり太鼓梁は迫力がある。

下の写真は、太鼓梁の真ん中から1階の出窓の鴨居を吊るように
入っている吊り束の細工 。鴨居に蟻ホゾ入り隙間は横から楔。
まさに釘を使わないでの仕事です。

▲昔の匠の技が光る。

今回は、鴨居をジャッキで上げ、補強梁を入れ外から構造用合板で
太鼓梁と繋ぐ事で合成梁のように補強し鴨居のたわみを直す。

▲柱と梁なども金物でしっかり緊結して補強する。

構造用合板を張って初日作業終了。

▲2階の角の柱と、中柱にも繋ぎ梁を新たに入れる。

次の日は繁さんに、吉岡さんを加え3人で作業。屋根の真っ赤に
錆びたトタンを剥がしていきます。剥がすと防水紙が出てきて
その下は杉の柾板、更に下に野地板となっているのですが、この
防水紙を剥がすと、柾板がバラバラになるのでここは残す。

▲杉の柾は、多少の断熱効果もあるので一石二丁。

そして、墨を出し、中に開口補強を入れ屋根に穴を開ける!

▲ちょうど穴の下がお風呂になる。

そうです、天窓。お風呂には窓ではなく天窓が付きます。

▲中の様子。天窓で一気に明るくなりました。

続いて軒先を切っていきます。屋根の垂木は浮き上がり防止の為
ひねり金物等を付けなければならないのですが、今回使うのは
それよりも耐力があり施工性もあるタルキックというビス。
これを桁、母屋、棟とすべての垂木と緊結し補強します。

▲コストはとても高いビスだが、とても大事な部分。
▲母屋には野地の上からなのでワッシャーもプラスする。

垂木をタルキックで留め、軒先の野地板を取り替えたら、壁の
透湿防水シートを張り、屋根には透湿性のあるルーフィングを
張り、壁と屋根に通気胴縁をながす。透湿性のあるシートは、
壁や屋根の中に溜まった湿気をこの通気層を通じて外に逃がす
働きをする。時に暖房をガンガン焚く北海道ではこの通気層が
ないと、壁の中で結露し、木は腐りカビが生えたりする。
逆に冷房をかける本州でも同じ事が言えるのでとても重要。

▲通気胴縁は空気がしっかり流れるように!

通気胴縁の上に、水平構面の補強も兼ねて構造用合板を新たな
野地板として張り、天窓部分をくり抜き設置する。

▲アウトレットで3万円で買った破格の天窓。新品です。

天窓を付け。防火戸のサッシを取り付けこの日も作業終了。

▲外アルミ、中樹脂枠の防火戸サッシ枠を取り付ける。

そして翌日は吉岡さんと二人での作業。野地板を全て張り、
壁の通気胴縁の上に破風を取り付けます。

▲破風は先日解体現場で貰ってきた半割材をリサイクル。

天窓の水上には、上に雪が溜まらないようにジャンプ台を付ける。
そして、再び嶋崎板金さん登場。ルーフィングを 施工してもらう。

▲ここまで来るとひとまず雨の心配もいらない。

下の写真は破風の拝み部分。屋根の棟に溜まった空気がすべて
こちらから抜けるようになる。

▲虫が入らないようしっかり防虫網を取り付ける。
▲右奥の壁に朝日を取り込むもう一つのガラスブロックが入る。

ドタバタの3日間、屋根の上は熱かった。
現場の足元は解体材の山。数日は片付けに追われそうです。。。

つづく。