第25話:下屋の掛け替え

バッチリ暖かくなったここ常盤坂の家では、連休前の大仕事に
遂に取りかかりました。明日から5日間出張で常盤坂を留守に
する前に、昨日、一昨日と大工さんに応援を頼みました。

▲雨漏りの激しかったアルターナと呼ばれる物干台の下の下屋部分。

手前の出っ張った物置とその続きの下屋部分の2坪を解体、減築
し、下屋を掛けかえるのですが、今回は2日間という短い工期と
少ない人件費に押さえる為、物置は取りあえず残したまま、間の
1坪だけ先行して解体し下屋の掛けかえを優先する事に。
初日は、大工さん2人と私の3人で作業に取りかかる。

アルターナを切り離し、物置の屋根の上に仮置きする。
▲屋根のトタンを剥がすと、足がズボッと抜けるほど腐っていた。

屋根のトタン自体はあまり痛んでいないが、下の野地板はかなり
腐っている。トタンは綺麗に外し、今度は外壁に再利用する予定。

▲ルーフィングを剥がすと杉のハギ葺きが現れる。

今では絶滅危惧種のような枌葺き。杉の赤身の腐りづらい部分を
薄くスライスし何枚も重ねて防水性を良くしたもの。断熱効果も
期待できる。土台や柱が腐っているのにこんなに薄い板が腐らず
残っているのも不思議でもある。

▲こちらも取っておけば、良い焚き付けになる。
▲軒先までアリが登った形跡がある。。。また注入しなければ。
▲下屋と屋根の掛かっていた2階の外壁をスッカリ解体。

壁の下地を組み下から構造用合板を壁に張り上げ耐力壁を作り、
既存の下屋の桁の上に束を建て、2階の床の胴差しや梁と同じ
高さでいちど床組し、構造用合板を床に張り、水平構面を固め
地震の揺れなど周りの構造体にしっかり伝えられるようにする。

▲母屋や桁には、解体した使える材料を再利用している。
▲水平構面を固めることが耐震性アップにとても重要。

そして、屋根の上に気軽に洗濯物や布団が干しに出れるように、
大きな防火戸仕様のサッシを 新設して1日目が終了。

▲準防火地域の延焼線内の為、網入りの防火戸を。これが大きな出費。

2日目、大工の吉岡さんと私の2人での作業開始。

▲水平構面の上に勾配を付けた垂木を流す。
▲垂木の間にフカフカの断熱材を隙間無く重鎮する。
▲さらに断熱材を合板でサンドし密閉する。
▲さらに透湿防水シートを張る。下では吉岡さんが壁を張り、、、
▲通り庭の先にドアを付けてくれました。

さすが、大工さん仕事が早いです。ドアの上のもったいない空間
は、ドア上で床を張り蔵として使う小屋裏収納にします。
そして、外では屋根と壁をぐるっと包み込むようにして、隙間が
できないよう透湿防水シートを張ります。

▲シートのジョイントは防水テープで気密性を確保します。

シートの上に通気用の胴縁を流し、その上に野地板を張る事で
通気層を作り、壁や屋根の中で結露などしないようにこの空間で
湿気をしっかり逃がすことで飛躍的に建物も長持ちします。

▲屋根の通気は壁を通じ上から逃がします。

野地板の上には、更に防水性と通気性をもった白いルーフィング
を張り、2日目の作業も終了。ここまでくれば、留守中も雨風が
しのげるので安心です。

▲なんとかノルマが終わりました。

さあ、常盤坂の家は、富樫雅行建築設計事務所になって初めての
設計契約を受けるため出張で不在になります。5月3日から作業
を再会します。

つづく。