第20話:構造補強

函館は雪も落ち着き大分過ごしやすい日が続いてきました。
常盤坂の家には、解体途中の土場から頂いてきた、もう少しで
薪にされそうだったケヤキの丸テーブルと椅子が仲間入り。
足がなかったので、とりあえず床下から出て来た土管を代用。

▲現場での来客や打合せが多くなったので丸テーブルは重宝している。

そして、約40日ぶりに棟梁の高橋さんが現場に戻ってきました。
さっそく、腐った柱の足元を一気に根継ぎしていきます。

▲スライド式の長ホゾによる追っ掛け大栓継ぎ。
▲土台に長ホゾを差した状態で横から叩き入れます。

結局、オリジナルのスライド継手で3本の柱を根継ぎしました。

▲根継ぎした角の柱の追っ掛け大栓継ぎを横から見る。

続いて、山側の土台を敷き込んでいきます。
山側は他の基礎より30センチ以上基礎を上げたので、角の通し柱
は下の土台に乗り、上になる土台が横から通し柱に差さってきます。
柱に差さるホゾは長い程、強度があるので通しホゾにする。

▲土台の通しホゾが、柱のホゾ穴から出てくる。黒いのは防腐剤。

そして、途中の柱は根継ぎした時のスライド形式を応用して、
こちらもスライド式のホゾに。普通土台を入替える場合は、柱は
ブッつり切られ、ただ土台に載せ金物だけで留めるだけだが、
スライド式のホゾを入れる事で、捻れなども防止できる。

▲通し貫の穴を利用するスライド式のホゾ。
▲ホゾをスライドさせ完了。引き抜きに対しては金物を使用する。

土台が敷き終わると、続いて新たに追加する柱を建て込みます。
常盤坂の家のような住宅の密集地では、両隣りからの採光などは
ほぼ取れないため、正面と裏に大きな開口部を取る事が多い。
そうすると、特に正面などは壁がほとんどなくなる。常盤坂の家も
正面には壁がないので、外の景観を変えずに、一歩さがった中の
部分に壁を補強してゆく。

▲柱は今では珍しいエゾマツ。階段の前に一本。
▲階段踊り場の下には、中の間から取り外した柱を再利用。
▲こちらもエゾマツ。ここから先は減築する部分。

柱を建てると、続いて梁を補強して入れてゆく。
梁を入れる前に、踊り場から上の階段がちょうど邪魔になるので、
上だけバラしてゆく。

▲さすがに階段をほぐすのは一苦労でした。

あるべき所にない、梁や胴差しを入れ補強してゆく。
常盤坂の家の構造材は、そのほとんどが青森ヒバだったので、
外した材料も十分使えるので、なるべく再利用して使ってゆく。

▲この梁は1階の床に使われていた敷居を再利用。

下の写真の手前の柱は、真ん中で柱が切れている。柱に柱が載って
いるとても危険な状態。この2本向こうの角の柱も同じ状態。
かなりの補強が必要になる部分。

▲こちらは下屋の小屋裏にあたる部分。

この列は胴差しの高さが他よりも低いので、他の部分と同じ高さで
胴差しを追加で入れ、2階の床の剛性を上げてゆく。

▲こちらの補強も古材を再利用。

ひとまず、大工さんはここまでで一旦終了。次は屋根を直す時に
来てもらいます。引き続き、自分で補強工事を進めて行きますが、
その前に大掃除、段取り替え、模様替え。

▲レンガの足りなかった部分は古い柱の切れ端を積む。

囲炉裏を解体した古レンガを積んで、お茶汲み用の少しワイルドな
カウンター兼棚を作りました。ぜひ、お立ち寄りください。

つづく。