暦の上では立春を迎えましたが、函館はまだまだ寒い日が続きます。
毎日朝一番に薪ストーブに薪を焼べ作業が始まります。
さて、ジャッキを掛け半分浮いた状態の常盤坂のは、続いて腐った
土台の入替え、腐った柱の足元の根継(ネツギ)作業へと進みます。
常盤坂の家は、土台全体の2/3は腐っていて取り替えとなります。
こちらは、大黒柱に当たる部分。 2㎝近く基礎も沈んでいた所で、
2階からの荷重が最もこの柱と土台部分に掛かってくる重要な所。
中通りのこの部分まで腐りが進行しているのは、それだけ湿気が
溜まっていた証拠でもある。 今回打ったコンクリートの土間は、
上からの荷重を均等に地面に分散する耐圧板の役割と、もうひとつ
地面からの湿気を押さえる防湿の役割もある。
柱の足元は欠損部分も多く、腐れも中まで進んでいる状態なので、
途中で切り、継手で足す根継をする。継手は追っ掛け大栓継ぎ。
柱の黄色いテープの上の高さが既存の基準レベルになっていて、
青いテープの上のラインを、黄色いテープのラインまでジャッキ
で上げて柱を納めると、2階の床も水平になるという事。
新たに継ぎ足す柱は、新しい土台に使うものと同じ米ヒバ。
継手にも男木と女木とがあり、一方からしか組めなくなっている。
続いて、更に腐れが酷い事になっている坪庭側の土台を取り除く為、
2階の角にあたる通し柱の部分にジャッキを掛ける。
こちらの土台の外側は坪庭の土に埋もれていた。その為、坪庭の
梅の木の根っこが土台の中を通っていた。土台と一緒に根っこも
取り除く。この状況、本当に坪庭を掘り下げて良かったと思う。
角の通し柱も根継するのに途中で切り落とし、土台を入替える。
次に中通り、長手の土台を追っ掛け大栓で継ぎ足した状態のまま、
合わせて4間半(約8.2m)もの長さの土台を敷いてゆく。
新旧の土台を斜めにアオりながら組み、途中の柱の下を滑らせて
中通りの土台のホゾを差し、最後に坪庭側の土台に長手のホゾが
差さるように納める。言葉では分かりにくいが、こうした作業は
新築以上 にとても弊害が多いので、継手の方法や組む順番までも
念入りに考慮しておかなければ組めない高度な技術の為、熟練の
大工の腕と経験が必要になる。
土台を入替える時、土台に差さった柱のホゾは切り落とさなければ
後から入れる土台が滑り込めない為、 この足元が最も障害になる。
通常は金物などで処理するが、木造の本来の粘り強さを活かすのに
やはりホゾはある方が良い。そこで、大黒柱の部分は当初のように
長ホゾで組めるように考えた結果が下の写真。
長ホゾを差した状態で、スライドさせながら追っ掛け大栓継ぎが
できるようにした。 横の穴は後から埋木しダボで綴じる仕掛け。
このやり方があるのか分からないが、独自に考えてみた。
まだ組んでいないが、新たに打った基礎の養生が外れるまで、
土台仮敷きのまま大工さんは少しの間、現場を抜ける事に。
そして事件が。。。
薪にするのに、腐った土台を切っていると、切り口から大量の蟻。
この土台は何処を切っても蟻が出てくる。
そしてこの土台は坪庭側から取り除いた部分。。。
もしや、シロアリに喰われていたかと思ったが、シロアリには
蟻のようなクビレは無い。山博士のファイヤピットさんに聞いた
ところ、ムネアカオオアリではという事で調べた所、そのとおり。
なんと日本では最大種の蟻のようで、朽木の中に巣を作るよう。
本当に大きいものは2㎝くらいありました。衝撃のあまりに、
すぐに薪ストーブの中へ入れていましたが、後から調べると、
なんとなんと、ネットにあるアリの専門店では、女王アリ1匹と
働きアリ10匹で3800円で取引されているでは。
そして、このムネアカオオアリはシロアリを食べるらしい。
ムネアカオオアリは、冬の間は集まって巣に入っているので、
処分した土台の中に大半がいたと思われるが、 念のため他の
替えなかった土台にシロアリ駆除の薬剤を、注入する事に。
こういうものは本当に使いたくないが、アリを根絶する為に
基礎周りや新たな土台にもやっておく方がよい。
なるべく人体に 影響の少ない水性のものを選び、取り寄せた。
しかし、現場に着いた時には、中身が凍結してしまっていた。
塗布前に凍結すると駆除効果が低下するということで、返品。
再度、梱包しなおしメーカーから送り直してもらう事に。
つづく。。。