さて、打設したコンクリートも順調に養生も進んでおります。
養生期間は現場での作業が出来ないので、次の土台の入れ替え
作業の段取りを進めております。
土台に使う米ヒバを、昨年から頼んでいた藤山製材所へ。
最近の住宅は大工が木材に墨を付け、仕口や継手を手刻みで加工
する事が無くなってきている。ほとんどがプレカットと言って、
機械で簡略的な継手などに加工し、現場で金物で補強するような
作りが多い。その為、一般に流通している木材は約3.6mの2間
の柱間の長さのものがほとんどで、大工による伝統工法の継手を
作ろうとすると短くて材料が余分に掛かってしまう。常盤坂の家
は全て手刻みによる加工なので4mの材料をお願いしていた。
そしてコンクリート養生4日目に、常盤坂の家に入れてもらった。
製材所で見た荒木のままお願いしていたが、藤山さんの計らいで
4面プレーナー仕上げで綺麗に仕上げて持って来てくれた。
養生5日目、土台の入れ替えをお願いしている大工さんが現場へ
やってきました。お願いした大工さんは 小柄な棟梁の高橋さん、
津島建工の親方津島さんのお二人。今回、大工さんに頼む工程は
土台入替えと、屋根の葺き替え程度なのでとても貴重。
まずは、玄関の土台の入れ替えからスタート。
腐った土台をチェーンソーで切り落としてゆく。まさに外科手術。
次にいよいよジャッキアップをし、梁や胴差をサポートで仮に
支え、柱を土台から少し浮かせて土台を抜いていく。
下の写真、右側の土台には蟻掛けという仕口の加工がされている。
こちらの土台はここから5尺ほどは使えるので復旧する。
続いて、棟梁の高橋さんと入れ替える米ヒバの土台を選定し、
それに墨付けをして刻んでゆく。
通し柱に取り付く、桁行方向の基礎は、打ったのコンクリートの
土間から30cm立ち上げるため、 外壁のトタンを残し、内側から
壁の下地などを切断してゆく。
一気にジャッキで上げるのではなく、玄関の方から少しづつ、
ジャッキで上げてはサポートで支えと繰り返しながら建物を上げ、
新たに打つ基礎に敷く土台の高さで柱と壁を切断しながら進む。
玄関から入って奥の方は、古い基礎が立ち上がっているので、
新たな基礎を抱かせながら、更に裾上げを行なうので天端には
また差し筋をし、ケミカルアンカー で固定してゆく。
手刻みで継手の加工が進む。下の写真はさきほどの復旧する土台
に新たに継手を設け、新しい土台と継いでいく部分を加工している。
常盤坂の家ではこれまで土台の継手は全て金輪継ぎ(かなわつぎ)
で組まれていたが、今回のリノベーションでは更に強度がある、
追っ掛け大栓継ぎでお願いした。
新しい土台と、昔からの土台が継ぎ手で組まれた瞬間は感慨深い。
こうして柔軟に継ぎ足して、住み継ぐことが出来るのが、日本の
伝統的な木造建築のすばらしい所である。
翌日、SK佐々木建設さんで立ち上がりの基礎の鉄筋を組み、型枠
を付け、その日に裾上げ基礎のコンクリート打設する。
土間と同じように、打設後5日間はジェットヒーターを昼夜かけ
湿潤養生を行なう。植物に水を与えるように、愛情を込めながら
コンクリートにも水を掛けて潤わせる。
木を扱い始めると格段に現場も面白くなってきました。
つづく