床下から現れた大きな囲炉裏も遂に解体の日がやってきた。
囲炉裏の解体には賛否両論あったが、第一に耐震改修の目標があり
基礎の補強のために打つ、コンクリートスラブの一体性を優先し、
解体に踏み切るが、こちらも再利用するため慎重に解体する事に。
まずはコツコツひとつづつ手で解体して行くが全く進まない。
すぐに解体できるだろうと甘くみていたが、昔のレンガはとても
柔らかく、目地や内側の化粧モルタルの方が強度がある為、叩くと
すぐにレンガの方に亀裂が入ってしまう。
これでは、ほとんどのレンガを壊してしまう。そこで平タガネと
サンダーを用意し、目地にサンダーで切れ目を入れ、平タガネで
楔を打ち込みながら作業をすると少し効率があがってきた。
やはり、仕事の効率は道具が大きく占めている。 地道な作業が続く。
と、そこにファイヤピットさんが薪ストーブを持って来てくれた。
これまで、ストーブも何も付けずにやってきたが、冬本番を前に
とてもありがたい。
こちらのストーブは、地元函館の大和金属で製造しているもので、
たまご型薪ストーブとして昔から親しまれているタイプ。
函館は実は薪ストーブの産地であり、国産第1号ストーブもここ
函館で1856年に武田斐三郎の手によって誕生している。
たまご型ストーブは 3千円程度と安価で使い勝ってもいい。
ストーブの底が傷みやすいので乾いた土を底に敷くと良いらしく
囲炉裏の下の方に貯まっていた灰を敷く。
早速、常盤坂の家 第一号たまご型薪ストーブに火入れ式を。
全く火の気のなかった家に、火が入った瞬間から何かが変わった。
原始の時代より、生活の中心にあった火というものの素晴らしさを
再認識させられた瞬間であり、家に命が吹き込まれた瞬間である。
揺らめく炎と木の爆ぜる音で、しばし優しい時間を過ごす。
次の日、電気の線を工事用に切り替えるのに、灯工業の替地さんが
来てくれた。 インフラの整備から住まいは始まる。
仮設電気も整い、レンガの解体も一気に進む。
更に、囲炉裏の下のコンクリートの土間も剥つり解体する。
土間下のトコからは白御影石の破片も出てくる。
コンクリート殻も綺麗に片付け、これまで囲炉裏のあった場所は
たまご型薪ストーブへと姿を変えました。
今回の囲炉裏の解体でなんとか使えそうなレンガは60個程度。
他に30個くらいは大きく割れたりした。
2011年の工事もこの辺りで仕事納めとなる。
手を付ける所どころ、日々面白い発見がありなかなか思うようには
進まなかったが、寄り道しながら進めるのがセルフビルドの良い所。
独立への奮闘記はいよいよ2012年、独立の年へと続きます。