第15話:百花撩乱

鹿部町も、ようやく日差しが強くなり夏らしくなってきました。
そんな中、外部ではカーポートの建て込みが始まりました。

▲米ヒバの土台を敷き、米松の柱・梁を組む若手3人組み。

独立した1帖程の物置が4隅にあり、そこに大屋根の家と同じ
勾配の屋根が掛かります。小屋組みは現しで、壁は構造用合板に
塗装、屋根は透明の波板というシンプルな造り。

▲間柱を建て、登り梁に屋根タル木を掛けていきます。

物置きの中は間柱に、棚板を兼ねた横貫をいれていきます。
外壁の構造用合板の裏が中の壁、棚が構造材と、用と美を兼ねる
構成になり成立する上で、無駄な部材がひとつもありません。
これは小澤師匠から受け継いだ、大事な手法のひとつ。

▲4隅にある物置の一角。構造上の横貫を兼ねる棚板。

夫婦桜を挟んで大屋根の家の前に、同じ屋根のプロポーションの
カーポートが現れました。 屋根のグラデーションが良い佇まいです。

▲車を入れる幅もゆったり入れられるよう約2.9mあります。

そとでは電気の外線の引き込み工事も進められました。

▲この辺りだけ凄い人口密度です。

そして、内部では大工さんの造作工事がまだまだ進んでいます。
玄関には、ベンチを兼ねた下駄箱ができました。靴の脱ぎ履きは
もちろん、ちょっとしたお客さんの時なども重宝します。

▲杉の座面に、唐松の扉で阿部さんが組んでいます。

鈴木木材さんで接いでもらった大きな楢の天板も運びこまれ、
フレームの上に固定しました。置かれた瞬間から凄い存在感です。

▲手前がアイランドの流し台、奥がIHヒーターの作業台になる。

天板の表と裏には、耐水性があり古くは番傘にも使われた桐油を
2回塗りし下塗りとします。とても良い艶がでてきました。

▲山田さんに頂いた桐油。仕上げは富樫塗装。

天板をくり抜きシンクと水栓を取り付け、引出しを取り付けます。

▲流しの下は扉付き収納、左はゴミ箱スペース。

鈴木木材さんに天板を取りに伺った際、家具職人の上杉さんが
木っ端で作ったボタンを見て、あまりの可愛さに引手にしたい
と話していたら、わざわざ作って届けてくれました。

▲上杉さんが寄せ木で作ってくれたもの。
▲こちらが上杉さんの作る可愛いすぎるボタン達。

上杉さんの作ってくれた寄せ木を使って、西村棟梁に引出しの
前板に引手を組み込んでもらいました。

▲三上さんの唐松の前板とも相性バッチリです。
▲工芸品のようなキッチンになりました。

お風呂では、武澤左官さんが十和田石と葛藤していました。
こちらのお風呂は、旦那様も最もこだわったもののひとつ。
十和田石は濡れ色になると青さが一層美しくなり、 床としても
滑りにくく保温性もあり、マイナスイオンも 出ているといいます。

▲セメントペーストを櫛コテで均し石を貼っていきます。

保水性もあるので、条件によってはカビ等の心配もありますが、
今回は、表面に防水材を塗布してそれを防ぎます。

▲吸水性があるので、前もって裏にも表面処理材を塗布してある。

壁部分を貼り終えると、床を水勾配をつけて中塗りを取ります。

▲水切れを良くするのに少し勾配をキツクしている。

下地を十分乾燥させ、床にも十和田石を貼っていきます。

▲割り付けに合わせ手際よく敷き並べていきます。

貼り終わると、目地材をしっかり奥まで詰め、細い目地コテで
目地材を押えて完成です。

▲しびれる程、良い仕上がりです。武澤さん本人も感激してました。

お風呂の下のピットでは、松浦配管さんが配管を繋いでいます。

▲こうした縁の下の見えないところも重要な仕事です。

十和田石と防水シート端部の防水処理をし、腰から上部の下地
を組んでいきます。お風呂の壁も唐松の板を張る予定でしたが、
三上製材さんが、お施主様の為に道産ヒバ材を挽いてくれました。

▲お風呂の壁天井の下地もすのこ状に通気工法としている。
▲ ヒバは全て真鍮釘で留めていきます。

厚沢部産ヒバと、十和田石でできた大屋根の家のお風呂完成です。

▲ゆったり幅の洗い場。

大屋根の家の中は、一気にお風呂のヒバの香りでいっぱいです。

▲こちらもゆったり大きな十和田石の浴槽。

そして福田建具さんで製作した建具を取り付けてくれました。

▲三上さんの唐松で作った引違い板戸。重いですが素敵です。

そしてそして、いよいよファイヤピット大石さんが薪ストーブの
設置にきてくれました。ダイニングの吹き抜けに煙突を建てます。

▲触っても火傷しない断熱2重煙突。

画期的な台車で悠々と運び込まれた薪ストーブをウィンチで釣って
据え付けしていきます。

▲黒い格好をした黒い2人が、黒い鉄の塊を設置する。

ん〜凄い!カッコイイです!そして可愛い!
薪ストーブは奥様たっての希望でオーブン付き。
この愛らしいフェイスは大屋根の家にピッタリ。

▲オーストラリア製のピキャン オーブン。

無事にフラットの竣工検査も終わり、これで終わりと思いきや、
大屋根の家まだまだ続きがあります。

▲ダイニングからリビング。右手前にはPCデスクもできました。

つづく。