大屋根の家は、大工さんによる造作工事が進んでいます。
今回はキッチンやテーブル、ソファ等も大屋根の家の生活に
合わせて設計させていただきました。
キッチンはシンクのあるアイランド型と、背面にIHヒーターを
備えた作業カウンターとの2列型になっている。
フレームは厚物の針葉樹合板 、天板は鈴木木材さんで用意して
いただいたドングリの木でもある楢(ナラ)の天板が載る。
フレームを組み引出レールを取り付け、引出しを組み込む。
続いて、アイランドキッチンのフレームも組んでいく。
キッチンはフレームを仮組みし、土間が仕上がると本組みとする。
続いて、リビングの家具を製作する。
床に出した地墨を基準に造り付けの木製ソファを組み立てる 。
テーブルの高さに合わせ肘掛けをサイドに配した3シーターで、
座面下と肘掛け下に収納を設け、床に使った杉板で作り上げる。
座面と背もたれには絶妙な?角度を付けている。
家具にも多種多様あるが、誰が作るかによりその設計も変わって
くる。今回は作り手である大工さんの技術と工法、使用する材料
から含めてデザインしてある。
やさしい表情の杉なのに凄い存在感です。座り心地もバッチリ!
よ〜く見ると、 なんと、サプライズで座面にチョウチョが。
西村棟梁の粋な計らい。この仕事に誇りを持っている証ですね。
そんな椅子に座って見るテレビの下は、杉板でTV台を作ります。
さらにさらに、この間に挟まれたテーブルは普通では可哀想っ。
そこで真ん中には、杉のローテーブルがきます。
最近ではこうした、伝統工法での仕事はほとんど無くなっている。
そうした仕事を頼む設計者や、施主もいなくなって来ているし、
その良さや本物の仕事を分かってくれる人も少ないのが現状。
大屋根の家では、こうした仕事を理解していただける施主と、
その仕事に真摯に向き合ってくれる職人さんに恵まれた。
少しでも多く本物の仕事を残していくのが私の使命でもある。
そしていよいよ大屋根の家の床約半分、南側土間にタイルを
敷く為の工事が始まりました。 コンクリートの土間の上に、
さらに精度を出す為の下地調整モルタルを 敷いて行きます。
コンクリートの土間に直接タイルを貼っていく事も多いですが、
400角という大判タイルなので、このひと手間を掛ける事で
しっかりとタイルが貼れるようになる。
それから基礎の外周を中塗りモルタルの上から仕上げ塗り。
浴室では腰上の壁と天井にプライマーを塗り、
浴室用防水シートを全面に張っていく。
2次防水までした浴槽部分にモルタルで中塗りを取っていく。
翌日、固まったモルタルの上に、タイルの割付けをし、基準の糸
を張っていく。この段階で善し悪しが決まる大事な作業。
モルタル下地の上に、保水材を混ぜたセメントペーストを塗り、
櫛ゴテ引きし、馴染みを良くしてからタイルを張っていく。
タイルを載せたら、ビブラートという振動工具で隙間がなくなる
ようしっかりと下地と圧着させていく。
南の大きな土間は、冬場の太陽からの熱を蓄える蓄熱体であり、
土間下の土壌蓄熱床暖房の蓄熱体でもあります。
大屋根の家の中心で明るい南側にダイニング、南東がキッチンに
なり、南側外部にできるウッドデッキやドッグラン、家庭菜園を
気軽に部屋の延長としてラフに使う為の土間でもある。
どうしてもリビングを南にもって行きがちですが、テレビや映画
鑑賞を主とするリビングは安定した光りの北側に配置している。
吹き抜け上部のピクチャーウィンドーから太陽高度の下がる冬至
にはリビングまで光りが差し込む。
今回は目地をタテヨコ揃えず、ズラして貼っていく馬目地という
貼り方。一般的にタイルの半分ずつズラすのですが、1/3づつ
不規則にズラして貼ってもらっています。ランダムにすることで
自然に表情豊かになっていきます。左官屋さんも初めての貼り方
だったようで、『マブイ』を連呼して気に入った様子。
玄関からは、黒っぽい300角タイルになります。
通常は見切りと言って、金属系の棒などを入れて逃げるのですが、
今回は自然に1/3ズラしの目地で貼り分けています。
最後に目地材を詰め、大きなタイル敷きの土間が完成です!
そして浴室も、中塗りまで左官で仕上がりました。
大きなタイル土間のダイニングの向こうには、大工さんが丹誠
こめて作った木の家具が揃ったリビングが続きます。
大屋根の家での暮らしが次第に見えてきました。
明日からいよいよ木製キッチン、カーポート、浴室の石貼りが
始まります。
つづく。