大屋根の家も壁のボードを張り終え、窓台の取り付け等
大工さんの造作工事が始まりました。
世の中では既製品の建具や枠等をただ取り付けるだけの仕事が
ほとんどですが、大屋根の家は、木枠なども大工さんの手仕事
によって仕上げられてゆきます。
クロークや押入等の間仕切りや棚なども、外壁にも張った地元の
唐松材で造っていきます。ベニヤ等で簡単に造られがちな部分も
地元の木と大工さんの手仕事で丁寧に仕上げます。
キャットウォークは壁のクロスを張る前に、塗装で仕上げます。
そして現場以外でも、大屋根の家の為の製作が始まっています。
杉本洋鍛冶工房ではテーブルの脚や、サインなど製作しています。
杉本さんの手が掛かった鉄には、冷たい鉄のイメージは全く無く、
魂が吹込まれ躍動感のある鉄に生まれ変わる。
厚沢部の鈴木木材さんでは、キッチンの天板やダイニングテーブル
洗面台の板を木取りし、接ぎ合わせを進めている。こちらの材料は
鈴木木材さん特製の低温乾燥の窯でじっくり乾燥させたもの。
高温乾燥とは違い、細胞も痛めず、樹木が持つ本来の効能を最大限
引きだしてくれる、木にも人にも環境にも優しい 。
まずはキッチンカウンターを接ぎ合わせしていきます。
板の木端に雇い実(やといざね)の溝を突き、たっぷりの白糊を
つけて、実と一緒に板を合わせていきます。
板を合わせると、すぐにハタガネで綴じていきます。
こうして一日乾燥させてから、600番までヤスリ掛けをして
手塩に掛けて仕上げていきます。
こうした広葉樹のカウンターなどは、とても存在感があるので
大屋根の家に来る日が楽しみでなりません。
そして現場では、階段の製作が始まりました。
大屋根の家の階段は、大黒柱を回るようにして2段の回り階段が
付いてから、蹴込み板の無い開放的な側板階段になります。
続いて2段目の取り付け。こちらは棟梁おすすめの斜め張りに。
回りが出来ると、側板階段の前に2階ホールの手摺を刻む。
親柱を建て、手摺桟を両端大入れとし、やり返して楔締めにして
忍び釘打ちとし、親柱にはホゾ差しする。随所に伝統工法による
大工 さんの技も織り込みます。
最後に手摺カウンターをホゾに落し込み、ダボで留めて固定。
手摺を付けてから、側板階段の墨付けをして刻んでいきます。
こちらの階段も知内産の杉板で組んでいきます。
刻みが終わると、側板と段板を組んでいきます。
組み上がった階段を、そーっと滑らせながら嵌め込みます。
そして最後に階段の手摺板に手掛かりの溝をつけ、トリマーで
R面をつけヤスリ掛けで仕上げます。
手摺を設置して階段が完成。力強い大黒柱の回りを優しい杉で
組まれた階段と手摺が回ります。こうして手仕事による痕跡を
残すことで、住み手も作り手も大屋根の家に愛着が 生まれます。
そして、いよいよ内装と外構工事が始まりました。
大工さんによる造作もまだまだ続きます。
つづく。