第11話:犬と猫と大屋根の下

初夏の鹿部町は、寒暖の差によって日中のほとんどが
独特の霧に包まれ、パッとしない天気が続いている。
床が張り終わると、続いて壁の断熱材を入れていく。

▲手前がリビング。壁に入れるのは高性能グラスウール16K。

壁の断熱は外の付加断熱と合わせて150㎜。隙間無く充填する。
断熱材を入れた上に、壁に湿気が入り込まないよう防湿フィルム
を全面に張って気密性を確保していく。

▲2階の客間。右側が寝室上のロフト収納になる。

防湿フィルムの上に、石膏ボードを張っていく。

▲リビング。壁を張っていくと、次第に部屋の構成が見えてくる。
▲ダイニング上の吹き抜け部分。

1.5坪の浴室には針葉樹構造用合板を張ってから、防湿フィルム
を更に張り、耐水合板を重ね張りする。大屋根の家のお風呂は、
青森産の十和田石と、三上製材の道産ヒバによる造り風呂になる。

▲浴室。床や壁に浴槽などの墨出しをする。

大屋根の家には、夫婦と柴犬、2匹の猫が共に暮らす。犬と猫が
しっかり共存できるよう、暖かい場所が好みの好奇心旺盛な猫の
為に、吹き抜けにキャットウォークを廻す。

▲玄関吹き抜けのキャットウォークの下地。

1階の土間には犬がいて、吹き抜けのキャットウォークを猫が
回遊したり、ひなたぼっこしたりと、しっかり棲み分けできる。

▲キッチン吹き抜けのキャットウォークの下地を組む西村棟梁。

キャットウォークができると、いよいよ大屋根の下に屋根なりに
天井下地を格子状に組んでいく。

▲大屋根のタル木が見えなくなり、棟木だけが現しになる。

大屋根の天井下地ができると、屋根に吹くブローイングという
断熱材を受ける為のネットを張っていく。

▲2階客間。45㎜ピッチでタッカー留めしている。

そして、大屋根の家にブローイング屋さんがやってきました。
屋根の断熱はサンブロードライBIBドライ工法という、接着剤を
全く使用しない高密度の断熱材を35㎝吹き込みます。

▲断熱材がトラックの中の機械から、ホースを伝って圧送される。
▲職人さんも35㎝も吹くのは初めてというハイスペック。

難しい形状も隙間なく、しっかり所定の厚さと性能を確保出来る。

▲寝室上のロフト収納部分。しっかり詰まってます。

厚く吹いたので、一日掛かりだったブローイングも終わると
いよいよ大屋根の天井を張っていきます。斜めで、三角ばかり、
狭かったりでとても大変な天井張りでした。

▲吹き抜け&斜め天井は、大工さんも大変でした。

天井が張り終わると、大屋根の下の空間ができあがりました。

▲玄関。左に下駄箱ができ、右が収納スペースになる。
▲玄関の吹き抜けとキャットウォークを見上げる。

日当りの良い 吹き抜けの窓は、猫の特等席。

▲玄関吹き抜けのキャットウォーク。猫の目線。

南にウッドデッキやドッグランや畑があり、南東にあるキッチン
を含め、外も中と同じように回遊的に使えるようにダイニングを
大屋根の家の中心に配した。

▲リビングからダイニングスペースを見る。右が玄関。左がキッチン。

南側の玄関〜ダイニング〜キッチンは全てタイル敷きになる。

▲ダイニング吹き抜け。玄関とキッチンがキャットウォークで繋がる。

リビングはテレビや映画鑑賞がメインになり、照度も安定する、
静かで落ち着きのある雑木林側とした。

▲ダイニングから北側のリビング、上に客間を見る。
▲2階の客間。左側は収納になる。

シンプルな大屋根の下に、3つの吹き抜けとそこを回遊する
キャットウォークが、採光と猫の為に開けられた窓とともに、
ゆるやかに空間を繋ぎ、豊かな空間が生まれました。
大屋根の下、犬と猫と夫婦が雑木林のなかで共に暮らす姿が
段々と目に浮かんできます。

▲キッチンの吹き抜けから、猫目線でダイニング吹き抜けを見る。

大屋根の家は、内装や造作、外構などこれからが後半戦です。

つづく。