外部工事も一段落して、これから中の工事に入っていきます。
連休明けから大工さんが外壁を張っている間、内部では電気の
配線工事が着々と行なわれておりました。
そして、道南は知内町にある岡田木材さんから大屋根の家に敷く、
知内産の杉の床板が運び込まれました。
大屋根の家1階の床は、約半分が土間(タイル)になり、風呂
トイレ以外残りが厚さ36ミリの分厚い無垢の杉板になります。
一般的な無垢のフローリングは15ミリ前後なので、約2.5倍の
厚みがあります。足裏の感覚は、特に敏感なのでこの床の厚みの
違いはすぐに分かります。 杉の木肌はとても柔らかく、それゆえ
断熱性にも優れていて冬は暖かく、夏はひんやりして年中裸足で
過ごすことができる数少ない床板といえます。そして、柔らかい
杉は膝にとても優しい床板でもあります。
私が外壁の防腐塗装を始めると同時に、床の工事が始まりました。
まずは、上がり框から順番に敷いていきます。
クロークの戸の敷居も同じ床板に、敷居溝を突いていきます。
溝を突いた敷居を敷き、実のベニヤを入れていきます。
雇い実の床は、板と板の接合面にお互いに溝を突いて、その溝を
またぐように一枚の実を入れて張っていく方法で、板に板を被せ
たり、差したりする他の張り方よりも、板の幅を無駄無く使える。
実が入る事で、隣りの板の反り上がり等の狂いも抑制できます。
また、無垢の板は呼吸をして年間を通して調湿してくれますが、
板が縮んだり伸びたりを繰り返す際、隙間を実が埋めてくれます。
まさに分厚い無垢の幅広の板にはもってこいの張り方です。
板には、皮に近い側の木表と芯に近い木裏という表と裏があり、
表側が乾燥して縮むため木表側に反り返るので、床を張る時には
木裏を上にして張っていく方が、後からの狂いが少ない。ただ、
木裏は節が多く、表の方が木目が綺麗なので、好みは分かれる。
今回は、土壌蓄熱暖房の影響も考慮して全て木裏で張っていて、
呼吸による伸び縮みに逆らわないように、釘もなるべく端から
離して打ってもらった。端過ぎると、板が縮む際に釘の部分で
木が負けて割れてしまうことがある。
木目の綺麗な板を選び出し、綺麗な板から順に張っていく。
同じ板を張っても、少しの気配りで出来上がりの印象が変わる。
奥の最後の一枚には裏に防虫網を張り、土間の湿気抜き用の
空気穴を開けておく。 基礎を外断熱にした場合の湿気対策。
敷き終わると最後にダボ穴を1カ所づつ檜の丸棒で埋めていく。
こうして、1階の分厚い無垢の杉床張りが終了。
つづいて2階の床へ。2階の床は24ミリの構造用合板の上に
12ミリの無垢の杉板を張っていきます。 こちらは本実加工。
本実の床は一般的なフローリングにも用いられている加工で、
片側が雄、もう一方が雌になっていて、雄の実から斜めに釘を
打ち留めてから、雌側を差しながら張っていくので釘が表には
出て来ない。薄くて幅の狭い板に向いた張り方。
こちらも忍び釘を打ちながら、木目の良い板から順に張り進める。
こちらは、施工性も良く一気に敷き終わる。
床が敷き終わると、傷が付かないようにしっかり養生をします。
無垢の床の中でも、杉はとてもデリケートで傷つきやすいので
敬遠されがちだが、この傷を味わいとして享受できるのは 無垢の
板ならではである。 小さな傷はやがて無数の痕跡として時を刻み、
やさしい杉の木肌ならではの、表情豊かな味わいを深めていく。
この変化を楽しむのも、無垢の家ならではの楽しみ。
こうして床が敷き終わると、いよいよ壁、天井と進み内部空間が
一気に現れてゆきます。
つづく。