なかなか気温が上がらない道南の鹿部町。日向に居るとこの季節が
太陽の日差しの暖かさを最も感じる時期かもしれません。
大屋根の家は、棟上げが終わりいよいよ大屋根を掛けていきます。
まずは、棟木と平行して掛かる母屋(モヤ)、桁(ケタ)に屋根タル木を
掛けていきます。大屋根の家では、軒先が1m以上出る構造なので、
なんと柱と同じ大きさの角材を屋根タル木に使います。
風による吹き上げに耐える為にタルキックという15センチもある
ビスで屋根タル木と、棟、母屋、桁を止めていき、さらに屋根面の
剛性を高めるラフターロックという金物で 締めていきます。
金物が全て取り付くと、屋根タル木と桁の隙間に面戸を落し込み、
さらに屋根タル木に野地合板の繋ぎのタル木を落し込む。
そして、大屋根のシンボルの煙突の下地を取り付ける。
屋根の下地が組み上がると、屋根面の構造用合板を張り、 透湿
防水シートを張りジョイントに防水テープを張り、通気胴縁で
押えていくが、屋根勾配がキツい ので、シートで滑る危険性が
あるので、棟から順番に張りながら下がっていく。
7寸5分勾配の屋根は水切れも良いが、工事は危険がいっぱい。
下まで無事に張ったと思ったら、次は下から野地板を張りながら
また登っていく。大工さんは凄い体力です。
唐松の野地板の下の隙間の部分が通気層になっていて、屋根裏
に溜まってしまう室内からの湿気を逃がす構造になっている。
この通気工法にしないと、壁内部や屋根の内部の湿気が結露し、
見えない部分で木が腐ったりしてしまう。
軒先の化粧野地を張る前に、軒裏になる入り組んだ部分の仕事を
やり易いうちに、ここで壁の間柱を建て、外壁下地の構造用合板
を張っていく。 この壁は筋交いの代りに、面材耐力壁を構成する。
そして、大屋根の軒下をつくりだす、化粧野地板を張っていく。
こちらは木古内町の岡田製材さんで、道南の知内近郊の杉を
厚み42㎜、幅180㎜のに挽いて加工して頂いたもの。
屋根通気層の入り口に防虫通気金物を取り付け、野地板を被せる。
屋根の妻面、けらばには登り淀(ノボリヨド)という同じ杉の板を
取り付け、それに合わせ軒先の化粧野地を切り揃える。
こうして大屋根の下地が完成。大屋根の家の玄関は、この大きな
軒下をくぐり、杉の野地板を眺めながらのアプローチになる。
野地が完成するとすぐに、嶋崎板金さんが屋根板金の下地になる
アスファルトルーフィングを敷いていく。
大工さんは休む間もなく、窓を取り付ける為に窓周りに気密用の
パッキンをしLow-eペアの高断熱樹脂サッシュを取り付けついく。
そして、函館では池見石油店で取り扱っている札幌のM.a.p社製
木製断熱ドアも現場に到着。木製サッシや、木製ドアは断熱性に
優れ、見た目にも暖かい。樹脂サッシに比べると、まだまだ高価
ですが毎日使う玄関ドアとして、お客様を迎え入れる玄関として
ひとつあるだけでもとても豊かな空間になります。
積雪と防犯性を考慮し、特別に内開きで作っていただきました。
全ての窓が取り付き、大屋根の家の姿が徐々に姿を現してきました。
これでようやく雨風を凌げる状態になり、ゴールデンウィークの
上棟式をお施主さまと迎えられます。
つづく。