第6話:棟上げ

鹿部では建て方の前夜から明け方まで雨が振り、
まさに雨降って地が固まりました。
そして佐藤木材さんより、PCにより機械加工された軸組み部材が
運び込まれました。大屋根の家の軸組みは、ホゾや継手で組んで
いく在来工法でなく、アゴ掛け金物やホゾパイプをドリフトピン
で組んでいく金物工法になります。金物工法は加工精度や接合部
強度に優れ現場での作業性が良く工期短縮にも繋がります。

▲雨も止み、晴れ間が差し込んできました。

土台は腐りづらい米国産の米ヒバの無垢材、柱や梁は強度の強い
米国産の米松の無垢材を使っています。
まずは土台を敷く為の地墨を出し、番付けを確認しながら配り、
アンカーボルトなどの孔を土台に開けていく。

▲地墨に合わせボルトの孔の位置を出している。

外周部には、土台の下に気密パッキンを付けて敷いていきます。

▲ゴムの部分が潰れて、完全に隙間を埋めて行きます。

土台を鎌継ぎ(かまつぎ)で継ぎ、仕口はアゴ掛け金物に土台に
切られたスリットを落し込み、横からドリフトピンを打ち込み
接合していきます。

▲鎌継ぎの右が女木(めき)、左が男木(おき)。右には、ホゾパイプとアゴ掛け金物.
▲土台と基礎は、アンカーボルトで締結する。
▲ 現場には、土台のヒバの香りが漂っています。

ほぼ土台も敷き終わり、まずは大黒柱を建て込みます。

▲大黒柱は□135の唐松。

大黒柱は基礎から直立てとなり、土台と大引きが掛かってきます。

▲大黒柱部分は基礎も厚く打っている。

大黒柱を建てると、一気に1階の管柱(くだはしら)や通し柱を
建て込み、ドリフトピンで締結していく。

▲柱が密集している部分が、風呂やトイレの水周り。

通し柱などの、垂直方向の建て入れを調整し、仮筋交いと取る。

▲下げ降りで垂直を確認し、仮筋交いを打つ。

アッという間に柱が建ち並び、家らしい雰囲気がでてきました。

▲飛び出した7本の柱が、通し柱になる。

つづいて、柱に対して水平方向に梁や胴差しを掛けていく。

▲1尺1寸の大梁は大黒柱に掛かります。
▲桁を掛け、胴差しを掛けて外周を固めていきます。
▲外が決まると、中通りの梁を掛けていきます。
▲建て方をしながら、差し鴨居の溝や、吊り戸レールの溝の加工。
▲吹き抜け部分には火打梁を取付る。

2階床の梁が掛かると、ネダレスという小根太を兼ねる厚物の
構造用合板で床下地を組み水平構面を固め、床面ができると、
2階の管柱や、束柱を建てていく。

▲床合板は1階の天井として仕上がる。
▲束柱に母屋を掛けていく。
▲母屋にさらに梁を掛けドリフトピンで締結していく。

そしていよいよ、 最後の頂部の束柱を建てみんなで棟を上げる。

▲1尺2寸ある棟木は流石に迫力がある。

そして棟木がのると、息付く間もなく大屋根へと舵をとります。
屋根が掛かるまで、天気とのにらみっこ が続きます。

つづく。