第3話:着工

鹿部の敷地には、まだ雪が40㎝ほど積もっていますが、
春の訪れを前にまず伐採工事から着手します。

着工前日、今回の施工をお願いする繁工務店の西村さんと
敷地境界の確認、建物の位置を出し、伐採範囲をテープで
囲い、移植する樹木と枝を剪定する樹木を ラベリングする。

▲まだまだ雪深く残る鹿部。

3月12日、現場にユンボが到着し伐採工事が始まりました。
道路脇の雪を掻き、出てきたのは側溝。まずは、敷地に入る為、
ここに取り付け道路を作ります。

▲冬の工事にはこうした作業にひと手間掛かります。

U字溝の上に10㎝あるコンクリート製の蓋を被せていきます。

▲ひとまず初日の道路はここまで。

続いて伐採に取りかかる前に、移植して残す樹木を脇に仮植え
していきます。今回は計10本の木を移植します。

▲こちらは二股の蝦夷ヤマザクラ。

この敷地は、近くにある駒ヶ岳が噴火した際に堆積した火山灰
が締め固まり、わずかな表土の上に横に伸びるように根を張る
樹木ばかりで、ユンボで押し付けると倒れてしまう木もある。

▲こちらの樺もすぐに倒れてしまった。

また、無造作に密集して植わっているので、葉が付き始めると
足元 まで日光は入らなくなるため、樹木は太陽の光りを求めて
上へ、上へと伸びほとんどの樹高は15mほどある。森としては
本来、もう少し悠々と横に枝葉を付けて成長すべきであるが、
管理されてこなかった森は、とても不健康な状態であった。

▲頭から下に、枝葉はほとんどない。

そうした不健康に育った樹木の大部分は伐採し、その下で何とか
生き延びていた木をメインに生かして、間伐ではなく皆伐とする。

▲昔、木こりをやっていた中村さん。手際がとても良い。

チェーンソーで切り倒してから、枝払いをし一定の長さで切り
分け、それをユンボで片付けていく。

▲倒してみると、見た目より木は意外に大きい。

さらに、残った木の根をユンボで伐根していく。

▲根も浅い為、小振りなものが多い。

切ったものは主に3つに仕分けする。
ひとつは枝と根。こちらは潰して処分してもらう。
もうひとつは20㎝以下の幹。こちらは『大屋根の家』で使う
薪ストーブの為に、薪用に保管しておく。
もうひとつ20㎝以上の幹は、隣りの森町にある三上製材さんで
枕木に加工してもらう。捨てればただのゴミだが、こんな身近な
木は立派な資源になる。

▲左から、枕木用、薪用、処分の枝と根。

そして、2日目。トラフ蓋の上に、隙間から土が流出しないよう
シートを敷き、その上に砕石を流し入れる。

▲こちらには約8㎥の砕石が入った。

そして道路を均し、ようやくダンプが敷地に入れるようになる。
伐採と同時に枝と根の、排出作業が続く。

▲10tロングのダンプは迫力満点です。

合間に小さなダンプを運転し、森町にある三上製材へ2往復。

▲三上さん左。この日は晴天で駒ヶ岳がバッチリ。最高の仕事場。

枕木は1mの長さで太鼓に落して120本作ってもらいます。
敷地奥には薪にする山ができています。この丸太を薪にする
までが 一苦労なのですが、、お施主様の楽しみでもあります。

▲これで2年分くらいの薪になるでしょうか。

伐採作業もほとんど終わり、伐採しない残す樹木は伸び過ぎない
ように頭打ちと枝の剪定をする。敷地中央右にある株立ちの良い
山モミジの枝が綺麗に見えるように周辺は低めに抑えたり、
無造作のようで操作するのが難しいところ。

▲道路側の原生林と思われる2本のナラは保存し剪定する。

伐採と剪定を終えると、続いて移植作業。主に移植するのは、
ナナカマド1本、ヤマザクラ2本、 タモ3本、カエデが4本。
枝振りや、室内からの目線なども考え、バランスよく配置する。

▲これまで根が浅かったので根入れも深くする。

車路の横にはヤマザクラを。近隣からの目線を遮るのにカエデと
タモを配し、玄関のアプローチ横にナナカマド、ダイニングから
ウッドデッキ、ドックラン越しの正面にはシンボルツリーとして
2股のヤマザクラを移植。 葉っぱがなく分かりづらいですが、
芽がでて息吹いた頃の葉の状態を考えて移植していきます。

▲移植を終えた道路からの景色。

今時期はまだ、ギリギリ冬眠している樹木達。この時期は移植
にも適した時期で、切った木にも水分が無く腐りづらかったり、
絶好のタイミングに伐採ができました。

▲ダイニングから見える風景。手前左がヤマザクラ。

ここから、もう少し雪が解け暖かくなるのを待って地鎮祭。
そして基礎工事へと進みます。

つづく。