常盤坂の家も、瞬く間に師走を迎えてしまいました。
工事の合間にも、薪の準備等の冬支度に追われます。
土台を入替えていた玄関も、約一年ぶりに欄間と玄関引き戸を
取り付けました。ガラス1枚ですが北海道では、この風除けの
2重の戸が冷気を入れない為に、とても重宝します。
さて、天井という大きな山場を越え、次に壁を仕上げていきます。
壁の針葉樹合板は本来、構造用の下地合板である為、仕上げに
なる表面に使ったりはしません。通常は石膏ボードを張った上に、
クロスや塗装の仕上げをします。ただし石膏ボードは、構造上の
強度が合板に比べ劣る為、別に補強が必要になったりします。
今回は『構造=仕上げ 』という合理性を追求し、針葉樹合板に
塗装をして仕上げる事としました。
しかし、仕上げ面に好んで使われない訳もやはりあります。
合板に含まれるアクが、クロスや塗装の表面に出てくるからです。
それを、今回はアク止めシーラーを下塗りして抑えてから、
と思って進めて行くのですが、、、(汗)
まずは、釘の頭から錆が上がらないよう、打った釘の頭全てに
白い錆止めを塗り、その上にアク止めシーラーを塗ります。
アク止めシーラーは塗っても透明で分かりづらいですが、表面に
うっすらと膜を張ります。36時間十分乾燥させ、洋漆喰塗料を
塗って仕上げていきます。
この洋漆喰は天然成分100%でカビや菌を死滅させる程の
PH12という強アルカリ性なので、今回は押し入れなどの
カビが生えやすい部分も全てこれで仕上げます。
珪藻土や、日本の漆喰でもこれほどのPHはありませんので、
高温多湿のカビ易い日本の気候には洋漆喰が適しています。
休日にお手伝いに来てくれた福田さんに塗って頂いている間、
続いて浴室の壁を仕上げていきます。
浴室はウレタン防水の上に、スタッコをコテで仕上げます。
スタッコとは、いわゆる防水性のある漆喰で、抗菌作用もあり、
自然浄化の光触媒作用もあり、自宅で試験的に使ってみます。
左官経験6回目の私には、この複雑な形状の浴室の壁&天井を
コテ1つで仕上げるのは至難の技で、絶叫しながら塗りました。
朝から晩まで悪戦苦闘し、ようやく仕上がりました。
仕上がったとは言っても、素人の域を超えた仕事だったので、
細部は悪いですが、達成感の方が上回ったので良しとします。
元い、福田さんのお手伝いのお陰もあり、壁の仕上げ1回塗りを
終えた壁に、異変が。。。恐れていたアクが出てきました。
節の部分の強いアクは、アク止めシーラーでは抑えきれずに表面へ。
青いテープの中の節で2回塗りですが、 まだうっすら出ています。
一度アクが出ると、仕上げを剥がしてアク止めを2回塗りにするか、
出ないまで塗り重ねるかの選択肢しか思いつきません。
そんな時、外壁の塗装や浴室の防水をやってくれた伊藤防水の社長が
現場に見にきてくれ、塗り重ね用の水性塗料を提供してくれる事に。
本当に助けてもらってばかり。感謝、感謝です。
場所にも寄りますが、3〜5回塗りでアクが止まりました。
アクが止まった上に、ようやく再度、洋漆喰で仕上げます。
そして、お陰様でようやく塗り上がりました。
思いがけず苦戦した塗装も終わり、次は床に進んでいきます。
そして突然ですが、塗り重ねに苦戦している最中に、我が家に
新しい家族が誕生しました。3200gの元気な女の子です。
名前を『菜奈』 と命名。
常盤坂の家の前にあるナナカマドから名前をもらいました。
昔、多くの大火に見舞われた函館では、7回かまどに入れても
燃えにくいというナナカマドを防火帯として街路樹に植えました。
常盤坂の家も、このナナカマドに見守られながら今があります。
菜奈にも、函館の街を、この常盤坂の家をずっと見守っていって
欲しいという願いを 込めて。
常盤坂の家と私達夫婦にとっても、新たな1ページの幕開けです。
完成を心待ちにしている菜奈の為にも、パパは頑張ります。
これからも、常盤坂の家&親子共々よろしくお願い致します。
つづく。