立冬が過ぎた函館は例年になく暖かい冬を迎えました。
常盤坂の街路樹のナナカマドは紅葉し、真っ赤な実をつけ
街に彩りを与えてくれております。
そんな中、常盤坂の家ではいよいよ寄せ棟の天井という最大の山場
へと作業は差し掛かりました。
まずは、階段脇の吹き抜けから煙突を屋根貫通に変える為の下地を
天井に組んでいきます。寄せ棟は、隅木という斜めに掛かる棟木が
ある為に、下地を組む時に角度が複雑になり大変。
そして、寄せ棟の屋根下地なりに透湿防湿シートを下から貼って
いくのだが、桁上や棟木上等はしっかりと気密を確保するのに先に
断熱材を載せフィルムを 捨て張りする配慮が必要になってくる。
そうしていると、午後から半日の時間が空いた北川さんが助っ人に
来てくれた。透湿防水シートを一人で綺麗に張るのはかなり大変
だなと、困っていた時でとても助かりました。
シートを張り終えると、断熱材の厚みを確保するのに、合板の
切れ端を2枚分既存たる木にパッキンし 、下地を組んでいく。
4.5寸勾配の屋根たる木が、隅木で交わる部分など、自分には
難易度の高い下地にとても苦労。
そしていよいよ断熱材を入れていきます。
断熱材を入れ捨て張りフィルムを折り返しておき、防湿フィルム
を張ったら、こちらとで気密テープを張る。
その頃、常盤坂の家のお隣、以前、目の不自由なおばあちゃんが
住んでいたお家についに解体業者がやって来た。
毎度お馴染みのご近所さんも寂しげに中を見つめる。
解体業者さんにお願いし、中の使える部材を頂けることに。
頂いた部材は常盤坂の家で大切に使わせていただきます。
中の物を出し、解体屋はしばらく忙しいようで来なくなりました。
そして常盤坂の家では浴室の防水工事が始まりました。
浴室は、床〜壁〜天井を全てウレタン防水で包み込みます。
外壁塗装、屋根塗替えをして頂いた伊藤防水さんにやって頂きます。
まずは、耐水合板にプライマーを塗り防水材の付きを良くします。
乾いたら次にビス頭を埋め、壁の入り隅、出隅、合板ジョイント
全てにグラスファイバーメッシュを伏せ込みます。
ウレタン防水は地震等の揺れによって、こうしたジョイントなどが
動き防水が切れることがあるので、それをメッシュで防ぎます。
メッシュまで終わると面を一気に塗っていきます。
3日ほど乾かし、続いて2回目を塗ります。
これで浴室の防水層が完成。2階の作り風呂は水漏れ出来ない
ので 、しっかりとした熟練職人による施工が大事になります。
伊藤防水さん、本当にありがとうございました。
この上に仕上げに左官や自然石を敷いたりと更に続きます。
寄せ棟では、夜なべをしながら断熱材を詰めていきました。
断熱材が入ると、防湿フィルムを張り、周囲やジョイントなどに
気密テープを張りしっかり密閉して気密性能を確保。
そして太鼓梁を現しにするので、梁にサッとヤスリを掛け磨いて
汚れを落としていきます。
太鼓梁なので樹皮が付きっぱなしのものもありますので、皮を
落さなければなりません。そこで登場するのが皮むき。
独立前に担当した物件の太鼓梁の皮むきをやったことがあり、
これを使うと気持ち良いくらい皮が剥ける。
これで、天井板を張る下地まで出来上がりました。
そして今日は大学時代の恩師である大野仰一先生が常盤坂の家に
いらっしゃいました。卒業から10年。今もこうしてご批評して
いただけることは、本当に嬉しい限りです。
もう一度立ち止まって、初心に帰る大切な一日になりました。
つづく。