第44話:寄せ棟 壁

函館はスッカリ雪の気配を感じるほどまで、朝晩の冷え込みが
一段と厳しくなってきました。
そんな中、常盤坂の家では大場の”寄せ棟”へと舞台を移しました 。
17.5帖、平均天井高 約3.3mの大空間。その分、作業量も大。

▲住宅の居間としては、かなりのボリュームになります。

まずは、壁の中のホコリを掃除機で吸い取り、内側から下地なりに
透湿防水シートを張り、縁には防水気密テープを張っていく。

▲ 伝統工法の通し貫を活かしながらのシート張り。
▲緩んだ楔も打ち直し、耐震補強金物も取り付けていく。

通し貫を既存の外壁下地のタル木と挟むように、新たに下地を
組んでいく。この下地の状態も美しい。

▲軸組みの歪みがあるので、壁のジョイントは半割を平使い。
▲道路側は防火用漆喰を塗り込めている分、断熱厚は半分になる。

そうこうしている間に、ファイヤピット大石さんが浴室の
給水を配管してくれたので、また浴室へ。

▲浴室廻りの間仕切りには、断熱材を入れ防湿フィルムを張る。

一度、構造用合板を張り目地には捨てコーキングをする。
耐震補強した上で、さらに耐水合板を重ね張りする。

▲脱衣から洗い場を見る。2階浴室なのでバリアフリーにはしない。
▲天井や窓枠廻りなどを張るのは、難易度が高くかなり苦労した。

浴室はこの耐水合板の上に防水を掛け、仕上げを施す。

▲浴室は天窓で、人目を気にせず露天風呂気分。

”寄せ棟”に戻り、下地を組み終わり壁に断熱材を充填していく。

▲キッチンに朝日が差し込むようにガラスブロックを入れる。

ガラスブロックは超安価で、暗がりになる部分で効果的に使える。
上の写真壁の左にIHヒーター、真ん中にシンク、右角は洗濯機。
壁を張る前に、鴨居の上の板類を移動し、鴨居を撤去すると、
一気に空間は広がった。鴨居一本の視覚効果は 計り知れない。

▲道路側は一般部よりも薄いので、さらに高密度の断熱材を使用。

スッキリした所で断熱材を重鎮し防湿フィルムを張り、再度気密
テープを張る。角は一方の構造用合板を張ったうえに下地を組み、
断熱を入れフィルムを張る。

▲いよいよ構造用合板を張っていく。吊り束はまだ残っている。

約2.7mの高さの構造用合板を、曲がった壁に当てながら型を取り、
何度も合わせながら張っていく。

▲入り隅の納まり。お昼前の光りの状態。

予備はないので慎重に、慎重に張り2日掛かりで張り終える。

▲家型へ続くトンネル。開口部廻りは枠無しの合板切り放し。
▲空間のボリューム感が分かりやすくなりました。
▲宝石のようにキラキラと西日が差し込む出窓。

釘打ちを残し、これで寄せ棟の壁が張り終わりました。
現場に来れない日も増え、工程も進める度に大幅に遅れています。
気は焦るばかりですが、地道にできる作業するのみです。
さて、次は常盤坂の家で最大の山場、寄せ棟の天井へ進みます。

つづく。