第39話:床組み

トンボの姿も何処へやら。記録的な残暑となっている函館。
暑さにも負けず、常盤坂の家で汗を流す日々が続いております。

LDK側の床下張りまで終え、続いて寝室やトイレお風呂となる
切り妻屋根で天井の低い側の床の解体から進めていきます。

▲材料の置き場所がいっぱいになり鴨居の上も材料だらけ。

この家を買う前に元の持ち主さんから少し話しがあったのですが、
建ててすぐだと思いますが、2階のこちら側はあとから増築した
ものらしいのです。 桁が切られた痕跡などから推測すると、
現在の屋根高よりも4尺ほど下にもとの屋根があったようです。

▲元の床組は太鼓梁に根太を掛け、垂木を転ばしにしていた。

後からの無理な増築というのは、見えなくなる部分で危険な納め
が多くなる傾向があります。こちらもそうでした。
今回はそうした危険要素をしっかりと改めていきます。
床組みは耐震補強をするうえで、とても重要な要素になるので、
水平剛性の低い転ばし床から、落し込み床へと組み替えます。

▲もともとはこの上に束が建ち小屋組があった。

ここの屋根はこれまでよく積雪に耐えてきたなぁという程、
とても危険な骨組みでした。

▲棟木からの荷重を受けるはずの柱はこの状態。
母屋を受ける柱は敷居にただ乗っていただけ。

床を組む前に、まずは上の写真の柱や敷居等を一度撤去。

▲2間間を実質3寸角の母屋だけで飛ばしていた。。。怖い。

しっかりと屋根の荷重を支えられるように柱を2本建てます。

▲常盤坂の家の青森ヒバの古材を使用。

太鼓梁にしっかりと根太を掛け、水平構面を強化していきます。

▲床組みにも古材が活躍しています。

床組みと共に梁の補強を入れ、さらに柱を建て込みます。
新たに建てる柱を受ける梁も、更に下に梁を入れ合板でサンドし
合成梁にして しっかり補強します。

▲こちらも3寸角の母屋で2間飛ばしていたので補強。
▲更に右手前の2本の柱も追加する。

柱は、屋根等の上からの荷重をしっかり下の梁や土台に伝える
ように、力の流れを読み取ったうえで適切に入れる必要がある。

床の下地ができたら、1階の天井裏に防湿フィルムを敷き、下の
事務所への防音用にグラスウールを入れ構造用合板を張っていく。

▲構造用合板は剛性を高める為、目地をズラして張る。
▲床が抜けた部分が風呂。右が洗い場、左の天窓の下にバスタブ。
▲下の事務所の机に、明かり取り用になる小さな吹き抜け。
▲午後をまわると寝室の真ん中に、陽が差し込む。

こちらは床下配管はまだこれからなので仮敷きになっています。

構造用合板は敷き出せば1日で終わるのだが、解体から床組み、
梁の補強、柱の建て込みなど、見えない部分に10日を費やした。
まさに常盤坂の家の、縁の下の力持ちになる事でしょう。

つづく。