第35話:外壁板金工事

先週まで常盤坂の家は、不安定な天気が続いていたため、
天気に左右され、外壁の板金工事は長期戦になりました。
外壁には真っ白なガルバリウム鋼板を張ります。
張り方は嶋崎さんにイメージを伝え、いろいろ相談した結果、
長尺の立平を横張りでお願いすることにしました。

▲材料は1枚づつ丁寧に養生されて搬入されました。

この張り方は私も見たことが無く、嶋崎板金さんも初挑戦。
材料自体が低コストなので縦に張った家は良く見かけます。
本来は縦に張るものなので、そう張った方が簡単に済むが、
在り来たり過ぎるのと、常盤坂の家としての景観にも合わない。
縦か横かで見た目も納まりも全然違うものになり、そもそも、
横張りは、嶋崎板金さんのような腕のいい職人にしかできない。

▲まずは割り付けを出し、陸隅を打つ。

まず張り始めに、水切り兼用の捨て板を取り付ける。

▲一段目の下端は、こちらに引っ掛け掴んでいく。

下端は引っ掛け、上ハゼは吊り子で下地の通気胴縁に留めていく。

▲端から端まで継目なく5メートルの長尺は3人がかり。
▲こちらが上ハゼ。

ハゼの処理は、下ハゼを一度だけ掴んで水切りのように納める。

▲下の上ハゼに、上から来る板の下ハゼを掛け折り上げる。

通常、横葺きなどでやる場合、角や墨には役物といって、柱型
などのものが入って納めるが、シンプルに横のラインを出す為
役物は無しにして納めるので、ごまかしが効かない 。

▲一方を曲げ両面の防水テープを入れ、もう一方で掴む。

張り進めながらも打合せを重ね、試行錯誤しながら納めていく。

▲ん〜真っ白ってとても可愛らしい色です。
▲窓の入り隅は字折りして防水テープとコーキングを併用。

壁は、3代目の息子さんが主体になり頑張ってくれています。

▲とても几帳面で、丁寧に納めてくれています。
▲窓廻りも無事に越えていきました。

破風の部分は、通気層の空気が抜ける隙間を空け、立平のハゼ
の高さだけ、字折りして内に倒し雨返しとする。

▲いよいよ棟の頂部まで来ました。
▲嶋崎さんは細かい補修部分なども納めていく。
▲明かり取りのガラスブロックは自分で納める。

そして今日、残った部分を納め外壁板金工事も終了。
最後に、道路側や隣家に落ちる雪の雪止めをつける。

▲ドブ付け亜鉛メッキの雪止めをステンボルトで。

真っ白な長尺の立平を横葺きにしたことで、彫りの深い漆喰塗り
の蔵のように、古いようで新しい感じでになった。

▲苦労の末、完成。作品に浸る嶋崎板金さん。

見事に今日で完成しました。本当に見事です。

新しい常盤坂の家の裏の顔は、遠くからしか見えませんが、
この界隈の街の雰囲気にもマッチしていて、自分でもとても
気に入りました。 嶋崎さん本当にお疲れさまでした。

つづく。